「品川駅」改良の全体像が見えてきた 交通結節点としてどうなる?杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/5 ページ)

» 2023年09月09日 07時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 2023年8月29日、京急電鉄とJR東日本は連名で「品川駅街区地区における開発計画」(京急電鉄版JR東日本版)を発表した。京急電鉄の地平プラットホーム化によって生まれる上部空間を活用する。構築物は北側から南側へ向かって地上28階建てのビル2棟、屋上庭園付き低層デッキ、地上9階建てのビル1棟だ。

都市再生特別地区となる品川駅街区地区を、計画地南西側から望んだイメージパース(出典:内閣府、都市再生特別地区(品川駅街区地区)都市計画(素案)の概要

 現在、京急電鉄の品川駅は高架構造となっている。プラットホームが2階、駅事務室や改札口が1階だ。この計画によって京急電鉄の出改札機能が2階になる。JR品川駅の2階部分の改札外通路、京急電鉄の改札外通路、国道15号上に新たにつくられるデッキ空間を水平に結べる。これで歩行者と自動車の動線が分離されて、歩きやすく安全な街になる。

 京急品川駅の構造を逆転させる計画は公表済みだ。駅の改良といえば線路部分の高架化だけれども、京急品川駅はその逆で高架駅を地平に降ろすという珍しい事例となった。この段階では、京急電鉄の上部空間を含めて、品川駅前にデッキ構造の大広場ができるだろうと思っていた。

 しかし実際の計画はビル3棟だ。驚きつつも、確かに上部空間を広場だけにするなんて、もったいないと納得した。品川駅は交通結節点としてますます便利になるからだ。

 現在は東海道本線、山手線などJR東日本の路線が集結するほか、東海道新幹線の駅もある。京急電鉄という羽田空港直結路線もある。今後はリニア中央新幹線の起点として工事が始まり、東京メトロ南北線分岐線もやってくる。

 この計画の公開で品川駅周辺のまちづくりプランがそろった。

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