京急品川駅の地平化は18年12月に決定した。この計画は品川駅の改良にとどまらない。実はもっと広い範囲に及び、北品川駅を含む高架連続立体交差事業のひとつになっている。北品川駅の前後にある踏切と、開かずの踏切として不評の八ツ山橋踏切を除却する。
駅と線路を高架化するため、北品川駅の南側から線路の標高を上げていく。しかし品川駅は地平だから線路の標高は今より下がる。そこで八ツ山橋踏切の北側から長い勾配で線路を下げていく。したがって、京急品川駅は現在位置より北側に移動するわけだ。泉岳寺駅にちょっとだけ近くなる。
京急品川駅を地上に降ろす手順として、まずJR山手線の留置線があった部分に同じ高さで仮のプラットホームを建設する。次に、現在の複線とプラットホームを維持しつつ、構造物を撤去して仮設構造に切り替えていく。この状態で地平プラットホーム2本とその両脇に線路を敷設する。地平設備が完成したところで線路を切り替えて地平プラットホームの使用を開始。引き続き旧プラットホーム部分にコンコース(連絡通路)をつくる。
高架駅に比べて、地平駅では線路の数が増えている。現在の京急品川駅はJR駅側に複線の線路があり、向かい合うようにプラットホームがあった。その外側にもうひとつ行き止まり式のプラットホームがあって、品川駅折返しの普通列車や有料座席列車「ウイング号」が使っている。地平化によって、プラットホームは2面、プラットホームの両側に線路が配置される。
現在の駅構造だと、折返し線路から横浜方面に向かう下り列車が、上り列車の線路を塞いでしまう。その結果、ダイヤが少しでも乱れると、分岐レール付近で列車が渋滞しやすかった。これが解消されるだけでも利点が大きい。
新しい地平プラットホームによって、都営浅草線直通列車は外側の線路、品川駅折返し列車は内側の線路という使い分けが可能だ。都営浅草線内で通過運転を実施する「エアポート快特」と、都営浅草線内で各駅に停まる特急、エアポート急行を品川駅で乗り換えできるようになる。さらに、8両編成の都営浅草線直通列車を京急線内で12両編成にすべく、4両の増結、切り離しを実施する作業を内側線で実施し、その間に外側の線路で列車を発着できる。
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