新時代セールスの教科書

初回MTGが「次につながらない」のはナゼ? 改善に向けた2つのヒントQA「売れない営業」から脱出(2/2 ページ)

» 2023年09月21日 07時45分 公開
[大村康雄ITmedia]
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尋問ヒアリングに気を付けて フリートークのポイント

 「ご予算はいくらくらいでしょうか?」「お決めになるのはどなたでしょうか?」「現在の課題をお教えください」――このように、お客さまに矢継ぎ早に質問をぶつけていないでしょうか?

 まるで、警察官が職務質問をするときのようで、尋問ヒアリングといっても過言ではありません。ですが、これを行っている営業スタッフは多く「質問に全て答えてくれたということは、見込みがある!」と勘違いしてしまうことも。実際は、お客さまはあまり良い気をしておらず、疎遠になっていくケースは多々あります。

 フリートークを行うときは、以下の流れを意識してください。

(1)本日商談の時間をいただけた理由を聞く

例:「本日、お時間をいただけたということは、当社が展開する〇〇のようなサービス(商品)について何かリサーチなどされていることかと思いますが、実際はいかがですか?」

(2)相手から時間を作った理由が返ってくる

例:「最近、〇〇の調子が悪くて、それでお話を聞きたいと思いました」

(3)返ってきた理由に対し、なぜ自社内で対処できなかったのかを聞く

例:「そうだったんですね。お付き合いの業者にすぐに連絡なさらなかったんですか?」

(4)自社内で対処できなかった理由が返ってくる

例:「懇意にしていた担当者が辞めてしまって、後任とあまり意思疎通がうまく行っていないんですよ」

(5)返ってきた理由に対し、なぜ自社内で対処できなかったのかを聞く

例:「そうだったんですね。担当を変えるようにお願いするとかされなかったんですか?」

(6)自社内で対処できなかった理由が返ってくる

例:「悪い人ではないので、それで会社から怒られたりするとかわいそうだと思いまして……」

以下、5と6を繰り返し。

 いかがでしょうか? 表面的なお困りごとではなく、課題を掘り下げ、一緒に共有していく流れがイメージできるかと思います。

 そして「もうこれ以上理由を聞いても仕方がないな」という返答が返ってきたら、それがお客さまの真相ニーズです。そこで「当社であれば、このようにお力になれますが……」とサービス提案に入ります。そうすると、ここまでニーズを共有してくれた後ですから、お客さまも真剣にこちらの話を聞いてくれます。

自社のサービスが先方に合っていなかったらどうする?

 ここまでに紹介したようなフリートークを行った結果、たどり着いた真相ニーズが営業につながらないこともあります。そんなときは「そこが一番のお困りのポイントなんですね。ちょっとその点は当社ではお力になれないのですが、〇〇を提供している会社であれば、解決してくれると思いますよ」と言ってあげましょう。売り上げにはなりませんが、お客さまからは絶大な信頼を勝ち得ると思います。

 また、真相ニーズに対して提案できたとしても、予算取りなどの兼ね合いですぐに成約に至らないケースもあります。そのようなときは、このように伝えて商談を締めてください。

 「本日はいろいろとお話をさせていただきまして、誠にありがとうございました。そうしましたら、また1カ月後くらいにその後の状況がどうなったか伺うために、ご連絡しても良いですか?」

 2人は真相ニーズを共有した間柄です。Noを言われる可能性は極めて低いでしょう。あとは、期日が来たら実際に連絡をするのみです。

 このように、営業資料の構成とフリートークのやり方を変えるだけで、初回MTGから次につながる確率はグッと上げられるはずです。ぜひ試してみてください。

大村康雄

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1982年生まれ。宮崎県延岡市出身。慶應義塾大学経済学部経済学科卒業後、米系金融機関であるシティバンク銀行(現SMBC信託銀行)入行。2007年、株式会社エッジコネクション創業。ワークライフバランスを保ちつつ業績を上げる様々な経営・営業ノウハウを構築、体系化し、多くの経営者が経営に苦しむ状況を変えるべく各種ノウハウをコンサルティング業、各メディア等で発信中。1300社以上支援し、90%以上の現場にて売上アップや残業削減、創業前後の企業支援では80%以上が初年度黒字を達成。東京都中小企業振興公社や宮崎県延岡市商工会議所など各地で講師経験多数。


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