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生成AIの”真のポテンシャル”とは 新興Spiral.AIが目指す「業務改善」以外の使い方生成AIスタートアップの挑戦(1/3 ページ)

» 2023年09月22日 07時00分 公開
[濱川太一ITmedia]

連載:生成AIスタートアップの挑戦

ChatGPTをはじめとする生成AIに注目が集まる中、多くのスタートアップ企業が生成AIビジネスに参入している。新興企業は新たな技術を武器に、既存のビジネスをどう変革していくのか――。

これまでの掲載

今後の掲載予定

Spiral.AI(本記事)、オルツ、AI inside、ABEJA、リーガルスケープ、リーガルアイ

※順不同、今後も追加予定

 生成AIビジネスに参入した新興企業を紹介する新連載「生成AIスタートアップの挑戦」第2回は、大規模言語モデル(LLM)開発に取り組むSpiral.AI(スパイラルAI、東京都文京区)を取り上げる。同社は2023年3月に創業。LLMに特化した数少ないスタートアップとして注目を集めている。

 現状の生成AIのユースケースは「業務の効率改善という局所的なニーズ」にとどまり、実際はまだ顕在化していない多様なニーズが「莫大(ばくだい)にある」とする同社。生成AIが秘めるポテンシャルをどう見ているのか――。回答者は同社ビジネス統括ディレクターの周涵(しゅう・かん)氏。

社名 サービス概要 顧客が受ける恩恵 サービスの強み リスク対処 ビジネスチャンス
エクサウィザーズ 株主総会の想定問答作成を支援 IR業務を効率化 大企業のニーズを把握、エンジニアも多い 生成AIの処理は国内で実施 コスト削減の余地が大きい業務に拡大できる
Spiral.AI 個性を有した会話が可能なAIコミュニケーションツールを開発 対話していて楽しいコミュニケーション体験 AIに個性を付与する各種技術ノウハウ ISMSなどの国際・業界基準に沿った情報管理 ユーザーフレンドリーなUI/UXに仕立てていくかが非常に肝要
各社の回答(要約)

Q. 生成AIを活用したどんなサービスを展開しているのか

 大規模言語モデル(LLM)を中心とした生成系AI技術を専業とする企業として、その中でも特に、生成系AI技術を用いた、個性・キャラクター性を有したコミュニケーションが可能なAIツールの開発を主に行っています。

 特に現在、エンターテインメント領域において、著名人やIPキャラクターとの対話を可能にするコミュニケーションプロダクトを展開しています。また、エンタープライズ向けに、顧客などの外部とのコミュニケーションにおいて、LLMの特性を生かしたAIチャットボットおよびコールセンターのオペレーション支援ツールを提供しています。その他クライアント企業のニーズにあわせたLLMソフトウェアの開発・提供も展開しています。

Spiral.AIの社内風景。生成AIにはまだ顕在化していない多様なニーズが「莫大にある」という(同社提供、以下同)

 現状、各種企業から一般消費者に至るまで、生成系AI関連サービスに対する旺盛なニーズを感じています。創業初期に比べると売り上げはこの数カ月で数倍に拡大しており、採用強化による人員体制の増強が急務となっています。

 また、当社の技術やプロダクト、チーム体制への期待を頂戴して、9月中旬にシードラウンドの調達を発表しました。生成系AI関係ではシードラウンドにおいて日本最大規模の調達額となり、調達した資金から積極投資も行い、現状の手応えをより力強い成長へ転換すべく、事業推進をしていきたいと思っています。

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