楽器販売が好調だ。帝国データバンクの調査によると、2022年度の楽器店市場(事業者売上高ベース)は前年度から0.6%増の1939億円(21年度1927億円)。2年連続で前年を上回った。
売上高の動向をみると、前年度から増収した企業は24%だった。21年度(27%)に比べ縮小したものの、前年度並みを維持した企業の割合が多かった。
損益ベースでは、22年度は「増益」が34%を占め、約6割が黒字だった。同社は「嗜好性の強い楽器は販売価格へ比較的反映させやすく、安定した利益を確保した楽器店が多かったようだ」と分析した。
一方、楽器製造の原料となる金属や木材価格の高騰、輸入品も多いことから物流費の上昇や円安による影響を受け楽器の仕入れ価格は上昇。赤字となった企業も約4割を占めた。
楽器店市場は、少子高齢化や習い事・趣味の多様化を受け、近年は頭打ちの状態が長く続いていた。こうした中、20年度はコロナ禍での外出制限を受け、一般顧客向けの店舗販売が大きく落ち込んだ。音楽教室なども休講を余儀なくされ、大幅な市場縮小となった。
20年度後半以降は、巣ごもり需要の拡大でギターなどの弦楽器や電子ピアノなどの需要が増加。学校での部活動やサークル活動なども再開したことでティーン層を中心に販売が増えている。また、22年度は、ガールズバンドを題材としたアニメ・マンガ作品『ぼっち・ざ・ろっく!』の影響で、新たにギターを始めるライト層向けの販売が増加した楽器店もあった。
帝国データバンクは「コロナ禍で販売量が増加したエレキギターは、販売店から『中古販売の在庫がやや多い』といった声も出始めるなど、難易度の高さなどを理由に楽器から離れてしまうケースも散見される。楽器演奏に興味を持ったライトなファン層の引き留めが課題となる」とコメントした。
今回の調査は、8月までに22年度業績が判明した、ギターやピアノ、DCMなど「楽器」販売を主力とする国内のべ1300社を対象に実施した。
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