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どこにいるのか“イネーブルメント人材”! おさえておくべき3つのポイント実践セールス・イネーブルメント(2/3 ページ)

» 2023年09月29日 07時00分 公開
[山下貴宏ITmedia]
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人の成長と営業成果をつなぐマインドがあるか?

 マインドから見てみましょう。セールス・イネーブルメントは、営業コンテンツを提供したからといって営業成果が上がるという単純な話ではありません。「人の成長」と「営業成果」の間にある複雑な要因を丹念にひもといて営業を支援していくことが求められますので、両者をつなぐ「探究心」があるとイネーブラーとしては理想的といえます。「成果に至る行動やスキルは何なのだろうか?」を考え続けられる人です。

 ただ現実的には「人の成長」と「営業成果」の2つをつなぐことを専門にしている人材はほとんどいないといっていいでしょう。ゆえに、マインドとしては、そのどちらかに強い関心を持っているだけでも十分です。「営業をサイエンスして誰もが売れるようにしたい」という営業側から見た強い関心であったり、「組織/人の動きを変えることで事業貢献したい」という組織・人材開発の側面から見て強い関心を持っていたりする人材もイネーブラーに適性があるといえます。

 もう1つは、製品・サービスの視点です。「われわれはとても良い製品を提供していて、多くの人にもっと使ってほしい。そのために売れる仕組み作りがしたい」という製品・サービスの軸で強い関心を持っている人材もイネーブラーに適性があります。マインドは、日々の業務の原動力の一部を構成しますので、イネーブラーの採用の際は「なぜセールス・イネーブルメントの業務に携わりたいのか?」という点からマインドを確認するといいでしょう。

業務の進行スキルがあるか?

 次にスキルについて見てみましょう。スキルは、セールス・イネーブルメントの業務の流れを想定して考えると分かりやすいです。営業に必要なスキル体系や施策体系を整理するためには、物事を構造化/体系化する力が求められます。

 施策体系で整理した育成施策を実際に提供するためには「資料作成力(営業コンテンツ作成力)」が必要ですし、作成したコンテンツを営業メンバーのスキルレベルに合わせて分かりやすく伝えるには「相手視点で伝えるコミュニケーション力」が求められます。

 通常は複数のイネーブルメント施策を同時並行で進めますので、各施策が滞りなく進むための「プロジェクトマネジメント力」が必要となります。また、イネーブルメント施策の社内展開にあたっては営業の部門長や関連部門と意見調整をしたり合意形成をとったりしていく必要がありますので「社内ステークホルダーとの折衝力」が求められます。これらのスキルは、特に営業部門のカウンターパートとなるイネーブラーには必要です。

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