「経営者として慢心と油断があった。リスクを理解せず、売り上げを重視したのは、経営者である私の甘さ」――。
29の都道府県で521人の食中毒患者を出した青森県八戸市の駅弁製造販売会社「吉田屋」の吉田広城社長は、そのように謝罪をして「本当に申し訳ございませんでした」と涙を流した。
報道対策アドバイザーとして、これまで多くの謝罪会見に関わってきた立場から言わせていただくと、今回の吉田屋の危機管理対応や謝罪会見は「成功」と評価していいのではないかと思っている。多くのメディアが本件をベタ記事扱いでしか報じていないのがその証左だ。
旧ジャニーズや旧統一教会のように連日報じられる「国内の大型不祥事ニュース」がない中で、500人以上の被害者がいて、しかも発生から1カ月以上経過してからの会見だ。ボロカスにつるし上げられてもおかしくないところをこれだけで済んだのは会見が「無難」に終わったことが大きい。危機管理の世界では、謝罪会見は「当日と翌朝報じられて終了」が理想とされているのだ。
その真逆にあるのが旧ジャニーズ事務所の会見だ。10月2日に会見をしてから「NG記者」がどうしたこうしたと1週間も2週間もダラダラと話題になり続けて、20日以上が経過した今もネットで謝罪会見の論評記事が出ている。傷口を広げるだけではなく、新たな疑惑も持ち上がった。謝罪会見としては「やらないほうがよかった」というほど「最悪」だ。
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