「完全無人店舗は世間に受け入れてもらえているようだ」と南氏は話す。
「ほんたすは多数のメディアで紹介され、それを見て多くの人が来店してくれています。『簡単』『ストレスなく利用できた』というポジティブな反応が多く聞かれ、それらが広がったことで現状の実績につながったのかもしれません」
一方、課題は「入店率」の向上だという。
「反響はいいものの、通行量に対して目標とする入店率には及んでいません。LINEの会員登録がハードルなのか、それとも品ぞろえなのか。何が入店をはばんでいるのか実証実験を通して検証していきます」
ほんたすのビジネスモデルは人件費を大幅削減できるため、賃料の高い駅ナカでも出店が可能となる。通常15坪で約300種類、4500冊を扱うならスタッフ2人が必要だが、その費用はほぼゼロになる。
監視や問い合わせ対応を行うサポートセンターは日販の既存窓口であり、他の業務と兼務しながら、ほんたすの対応も担っている。少ない人数で複数店舗を回せることから、店舗が増えると運営費が減る見通しだ。
「数年以内に20店舗の目標を掲げています。1号店とは立地環境が異なるターミナル駅、ベッドタウンなどにも出店したい。一定時間は有人として取り寄せができるようにするなど、地域に合わせてモデルを柔軟に変えていきます」
無人書店の取り組みにおいては、取次大手トーハングループの「山下書店世田谷店」も夜間の無人営業を実施している。午後7時から翌午前10時を無人営業に切り替え、23年3〜7月まで実証実験したところ、売り上げは前年比106.6%に。8月以降は正式運用しており、新たに「メディアライン曙橋店」にも導入が決定。他店にも展開予定だ。
12年から22年の10年間で全国の書店数は約3割減少している。無人書店は、経営が立ち行かない、あるいは後継者がいない書店を救うソリューションになるかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング