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「ウチは関係ない」で済まされない 人的資本経営の本質とポイント上場企業以外も取り組むべきテーマ(1/3 ページ)

» 2023年10月31日 05時00分 公開
[佐久間 俊一ITmedia]

著者プロフィール

佐久間俊一(さくま しゅんいち)

レノン株式会社 代表取締役 CEO

城北宣広株式会社(広告業)社外取締役

著書に「小売業DX成功と失敗」(同文館出版)などがある。

グローバル総合コンサルファームであるKPMGコンサルティングにて小売企業を担当するセクターのディレクターとして大手小売企業の制度改革、マーケティングシステム構築などDX領域のコンサルティングを多数経験。世界三大戦略コンサルファームとも言われている、ベイン・アンド・カンパニーにおいて2020年より小売業・消費財メーカー担当メンバーとして大手小売企業の戦略構築支援及びコロナ後の市場総括を手掛ける。2021年より上場会社インサイト(広告業)のCMO(Chief Marketing Officer)執行役員に就任。

2022年3月小売業と消費財メーカーの戦略とテクノロジーを専門にコンサルティングするレノン株式会社を設立。

2019年より1年半に渡って日経流通新聞にコーナーを持ち連載を担当するなど小売業には約20年間携わってきたことで高い専門性を有する。

日経MJフォーラム、KPMGフォーラムなど講演実績は累計100回以上。


 内閣府令の改正により、2023年3月期から有価証券報告書における人的資本情報の開示が上場企業へ義務付けられました。経済産業省は「人的資本経営」を以下のように定義しています。

「人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です」(経済産業省公式Webサイトより引用

 また、内閣官房が開催している「非財務情報可視化研究会」が示した「人的資本可視化指針」の中で人的資本を次のように定義しています。

「『人的資本』とは、人材が、教育や研修、日々の業務等を通じて自己の能力や経験、意欲を向上・蓄積することで付加価値創造に資する存在であり、事業環境の変化、経営戦略の転換にともない内外から登用・確保するものであることなど、価値を創造する源泉である『資本』としての性質を有することに着目した表現である」(非財務情報可視化研究会「人的資本可視化指針」より引用

 人的資本経営は、その定義である「人的資本の価値を最大限に引き出し、中長期的な企業価値向上につなげる経営」を基に考えると、経営活動の全てが関わるといっても過言ではないテーマです。

「人的資本経営」は企業活動全般に関係するテーマだ(出所:ゲッティイメージズ)

 実際に、人的資本経営の実践ではESG経営やダイバーシティといった視点や、ミッション・ビジョン・バリューの浸透、さらには事業戦略における競争優位性、はたまたIR、リスキリング、従業員満足度など、経営における「最重要項目」を横断的に考慮する必要があります。

 そもそも人的資本経営への取り組みは昨今いきなり始まったことではなく、人材戦略や戦略的人事へのシフトというテーマで長年注目されてきたものです。しかし、その内容や骨子は各企業に委ねられてきたのが実情でした。それがこの3年で具体化が加速しました。

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