なぜ、出店場所としてコンビニに注目したのだろうか。長田氏は「お酒の美術館の目標は、あらゆるシーンにバー文化を根付かせることです。コンビニは、不特定多数の人とのタッチポイントになります」と説明する。昨今、若者のお酒離れが叫ばれているが、お酒を提供する側から接点を積極的に作り出そうという狙いがある。
お酒の美術館は、コンビニ店内のスペースを借りて運営している。主に、フランチャイズ加盟店の従業員がバーテンダーとして働くケースが多いという。店舗面積は約16平米で、最大12人が利用できる規模が一般的だ。一部スタンディング形式の店舗もある。
基本的な営業時間は午後3時から午前0時(店舗によって異なる)。オープンしてからしばらくは、観光客や外国人旅行客が多い時間帯だ。今年の8月29日には、東京のファミマとしては初の「お酒の美術館 渋谷明治通り店」(東京都渋谷区)がオープンしているが、こちらも同じような傾向だという。
夜になると、周辺で働く会社員が仕事帰りに1〜2杯パパっと飲んで帰るシーンが見られるようになる。午後10時くらいになると、2軒目、3軒目需要が高まる。
「コンビニの店舗では、普段バーに行かない層を拾えていると思います。通常の店舗と比べ、客数は多いが客単価が低い傾向にあります」(長田氏)
コンビニで購入したフードを持ち込めるようにしているのも大きな特徴だ。例えば、ファミマの看板メニュー「ファミチキ」に合うように、お酒の美術館が独自に開発したオリジナルブランドのハイボールを提供している。ちなみに、ローソンでは「からあげクン」に合うように開発したオリジナルブレンドのウイスキーを用意している。ほんのりとスモーキーな味わいが特徴で、ハイボールで楽しむことを推奨している。
お酒の美術館と併設することで、ファミマにはどのような影響が出ているのか。ファミマの広報担当者は「来店動機向上、新規顧客獲得を期待しています。また、お酒のつまみとしてフライヤーを中心とした総菜、菓子・珍味などの売り上げ及び客単価アップが見込めます」と説明する。また、お酒の美術館が開店している夕方〜準夜間の時間帯は客数が増えているという。
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