ジョブズは10年かかったのに……アルトマン氏がOpenAIに“爆速復帰”できたシンプルな理由古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/2 ページ)

» 2023年11月24日 07時00分 公開
[古田拓也ITmedia]

 事業は人なり──。かつて松下幸之助氏がたどり着いた「人」を重視する経営理念は、新進気鋭のAI企業にも響くものだったようだ。

 対話型生成AIツール「ChatGPT」で知られる米OpenAIの創業者、サム・アルトマン氏が解任されてわずか5日後、同社はアルトマン氏のCEO復帰に向けて方針転換したことを発表した。

 複数の現地メディアの報道によれば、解任後にアルトマン氏は米マイクロソフトに入社するとともに、新たなAI関連企業を創業する方向であるとされていた。

“追放されし創業者”の復帰 ジョブズは10年かかったが、なぜ5日で実現?

 SNS上ではOpenAI従業員が一斉に「OpenAI is nothing without its people」とつぶやくムーブメントにも発展しており、およそ700人の従業員のうち8割ほどがアルトマン氏の解任に伴い退職する旨の署名活動にサインしたという。

 署名活動の書面では「能力、判断力、従業員への配慮が欠如している人々と共に働くことができません」と現経営陣を痛烈に批判するとともに、本署名にサインした従業員はOpenAIを辞め、アルトマン氏とグレッグ・ブロックマンが率いる新たなマイクロソフトの子会社に参加する可能性があると記載されている。

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 スタッフの一斉退職を回避するためには「現在の全ての取締役が辞任」し、また「ブレット・テイラーやウィル・ハードなどの独立した取締役を任命するとともに、サム・アルトマンとグレッグ・ブロックマンを元の役職に復帰させる」ことも要求しており、現経営陣に対して一歩も譲らない姿勢を強調した。

 アルトマン氏の解任騒動によって外部からのプレッシャーのみならず、内部からも激しい反発が起こったことで、同社はこのような判断を迫られたのかもしれない。

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