もう1つの要因として挙げられるのが、米メジャーリーグで活躍する大谷翔平選手だ。3月に、総合ランキング4位にランクインした美容液「リポソーム アドバンスト リペアセラム」の広告モデルに大谷選手を起用したところ、売り上げが大幅に伸長。アイスタイルの旗艦店「@cosme TOKYO」では、広告起用前の2月と比較すると、売上数が3月は約1.4倍、4月は約1.5倍となった。
また、コーセーの担当者によると、大谷選手の起用後、主要百貨店における男性の新規顧客はコスメデコルテ全体で前年同期比約4倍、リポソーム アドバンスト リペアセラムという商品単体では約7.5倍に増加したという。普段美容に関心のない人も含めて老若男女問わず「リポソームだけは知っている」「大谷選手が出てた紫の化粧品」という声が聴かれるほど、商品やブランドの認知度が拡大。まさに「大谷売れ」といえる現象が起きた。
「大谷選手がInstagramに投稿したロッカールームの写真にコスメデコルテの商品が映っていました。このことから『実際に本人が使用している』と消費者の認知が拡大したのです」(アイスタイル リサーチプランナー)。CMやキャンペーンの効果だけではなく、「大谷選手が使用している」という“リアルさ”が、売り上げ拡大の大きな後押しになったのだ。
他のブランドでも、大物アスリートを広告モデルに起用しているケースはあり、そのファンが「広告を見たから」と買いに来るケースは多い。しかし、今回の大谷売れのように「本人が使用している」という“リアルさ”をきっかけにした購買行動は、長年口コミを分析しているアイスタイルのリサーチプランナーから見ても珍しいという。
数多くの商品がしのぎを削る化粧品業界で、急激に注目されるようになったコスメデコルテ。その勝因は、価格戦略と“リアルさ”の二刀流によるところが大きいといえるだろう。
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