七つの大罪とは、人間の堕落した性格や行動を象徴的に表現したもので、人間性の弱さや誘惑に対する戒めとされています。また、これらの概念は文学や芸術などでも広く取り上げられ、さまざまな形で表現されています。
日本でも「週刊少年マガジン」で、この七つの大罪をテーマとタイトルにした漫画が連載されていました。全世界でシリーズ累計5500万部を記録した大人気作品で、アニメ化もされているので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
先述したカラオケで得られる体験を、七つの大罪に照らし合わせてみると、その内5つの欲求と関連していることがわかります。
カラオケは「罪へと導くほど人を魅了する」といわれる欲求を、たった1時間程度で5つも満たしてしまうのです。こう考えると、カラオケがこんなにも長く愛され続けていることに納得せざるを得ません。
実はこの「七つの大罪にひも付く欲求を刺激することで、ヒットサービスを生み出せる」という考え方は、米・シリコンバレーのスタートアップ界隈では成功の秘けつとして有名な話だそうです。人間が本能的に感じる欲求であり、ビジネス観点でもユーザー心理に訴えやすいことから、行動を起こすためのモチベーションの根源になると考えられているのです。
確かに、世界的にヒットしたサービスを挙げてみると、Facebook(傲慢)、Instagram(嫉妬)、X(憤怒)、Uber Eats(暴食)、Tinder(色欲)、YouTube(怠惰)、Amazon(強欲)など、七つの大罪との関連性が思い浮かびます。
カラオケは国内はもちろん、今や海外でも人気サービスとしての地位を確立しています。その成り立ちを振り返ると、時代に合わせてさまざまな変化を重ねながら人気を維持し続けてきたことが分かります。
カラオケの始まりとされているのは1970年代、専用の機器でミュージシャンの演奏が録音されたカセットテープを再生し、利用者はその伴奏に合わせて歌うというシンプルな形態でした。友人や仲間と一緒に歌う楽しさが好まれ、居酒屋やクラブで広がりました。
80年代に入ると、カラオケボックスが登場し、個室で気軽に歌えるようになりました。これにより、プライベートな空間で歌を楽しむことが一般的に。見知らぬ人も含めて大勢で楽しむものだったカラオケは、友人や同僚との交流が深まる場として親しまれました。
その後、90年代には楽曲管理や採点機能が進化し、歌唱力を上げる楽しさが生まれ、誰かと上手さを競うような文化にも発展していきました。また、外食文化の浸透やバブル崩壊後のサービス激化に伴い、カラオケボックスで提供されるメニューも、より高品質で多様化していきました。
2000年代に入ると、デジタル化が進み、スマートフォンや携帯音楽プレーヤーが普及。みんなで楽しむものだった音楽が個人で楽しむものへと変化し、音楽の好みは多様化しました。カラオケボックスも例外ではなく、ニーズに合わせて「ヒトカラ」ができる店舗が増え、カラオケの楽しみ方にまた一つ新たな文化が積み重なっていったのです。
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