近年は、男性が使える授乳室やオムツ交換スペースのニーズも増えており、イオンリテールでは、22年10月にオープンした「イオン天王町ショッピングセンター」でジェンダーレス授乳室を導入した。
こういった流れもあり、「ジェンダーレスのベビーケアルーム」として打ち出し、男性も利用しやすいスペースを創出する目的でママロを設置する施設も出てきている。
同時にママロの競合となる個室型のベビーケアルームが他社からも登場している。
23年11月から設置が始まった「Babypeko」(ベビペコ、価格は要問い合わせ)、セコムの防犯システムが付いており、新丸の内ビルディング地下1階に設置済み(GREATEST DAY社のプレスリリースより)
23年10月に発売された設置型ベビーケアルーム「OHACO Baby」(オハコ ベビー、本体88万円、設置工事費など別途、授乳チェアとおむつ交換台は有料オプション)、大学や研究機関等に150台以上の納入実績をもつ(TSUDA CONSTRUCTION COMPANY社のプレスリリースより)これらと比較したママロの強みは、「利用データを取得できることだろう」と東氏は言う。
「ママロは設置場所によって利用に違いがあり、例えばフードコートの中はオムツ交換の需要が、奥まったトイレ施設の近くでは授乳の需要が多くなります。当社では、これまでに取得したデータを活用して、YCU 横浜市立大学データサイエンス学部の学生と一緒に授乳室での授乳予測を研究しています」
一方で、競合とはいえ約81万人(※1)の出生数に対して、授乳室は約3万32室(※2)と100人の赤ちゃんに対する授乳室数の割合は4%弱しかない。より良い子育て環境を整えるという意味では、他社の参入は良いことだろうという考えを東氏は示した。
トリム社は現在、新たな試みとして雨風に耐えられる屋外設置型のママロの実証実験も始めている。さらに、ママロのユーザー体験のアップデートも模索する。例えば、あまり使われていないタイミングに、モニターとソフトウェアを生かして遠隔診療や子育て相談、学習環境を提供するなどだ。
将来的に、AIカメラによる人流データと施設のポスレジデータをひもづけた分析なども考えられる。データの蓄積に比例して、ママロの可能性は広がっていきそうだ。
これまでになかった「箱型の授乳室」が、じわじわ増えている秘密Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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