1990年代後半、スポーツドリンク市場の二強だったポカリスエットとアクエリアス。その空白を狙い、サントリー食品インターナショナルが発売したのが「ライフパートナーDAKARA」(以下、ダカラ)だった。二強相手に人気商品に成長したダカラだったが、その後低迷。起死回生の一手として、スポーツドリンクらしからぬ転身を図った。同社ブランド開発事業部の井島隆信氏に話を聞いた。
ダカラの開発は90年代後半にまでさかのぼる。当時、同社のソフトドリンク事業は、サントリー天然水、コーヒーのBOSS、炭酸飲料のC.C.レモンやデカビタCが主力商品だった。一方、スポーツドリンク分野は、ポカリスエットとアクエリアスの二強状態。「弊社も何度も商品を投入しましたが、三番手に甘んじることが続きました」(井島氏)
苦戦が続く開発チームは、あらためてスポーツドリンクに対する消費者のニーズを徹底調査することに。調査を進める中で、ある事実が分かったのだという。「スポーツドリンクといえば、多くの人がスポーツの最中や後に飲むというイメージを持っていると思います。実際に、多くの商品がスポーツ時をメインの飲用シーンに設定し、汗で失われたナトリウムを補給する設計になっています」(井島氏)
だが実際は、スポーツ時の飲用シーンは意外と少なかったのだという。多数を占めたのが、風邪や二日酔いといった「体を労わりたいときに飲む」というものだった。
そこで開発チームは「体を労わりたい」というニーズに着目。スポーツ時という限定された場面だけでなく、日常生活で飲めるスポーツドリンクの開発に着手した。「日常生活で飲めるように、従来のスポーツドリンクとは異なり、余分なナトリウムや脂肪分、糖分を排出する商品設計としました」(井島氏)。また、食生活の乱れにも配慮し、不足しがちな栄養素であるカルシウムやビタミン、食物繊維も追加。2000年3月に発売した。
それまでありそうでなかった、日常生活に焦点を当てたスポーツドリンクは大きな反響を呼び、発売年には1500万ケースを売り上げた。02年には3400万ケースを記録し、ダカラは一躍、同社の人気商品へと成長した。
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