ということで、いろいろ認識を改めないとこのクルマのことが分からない。マイナーチェンジしたのね、と袖ヶ浦フォレストレースウェイのサーキット試乗会に行ってみれば、アホみたいな数の改善ポイントが列記されている。少量生産の特殊モデルにこんなに手をかけるマイチェンは見たことがない。
こっちは旧来の自動車産業の常識に縛られているので、そんなに手間をかけて採算に合うのかと思うが、先方にしてみたらラリーに毎戦出ていれば、否も応もなく毎回改善ポイントはあるし、そうやって競技車を改善したノウハウはそのまま市販車に移植しなきゃもったいないというだけの話だった。
改良点はいっぱいありすぎて書ききれないが、まあ分かりやすいところで馬力が増えた。272psから304psへ。加えてドライブモードセレクトでは液晶メーターのデザイン(レースモードの瞬間読み取り用表示と市街地モードの感覚的把握表示)、パワステ、エアコン、アクセルレスポンスのセッティングも変わった。
ATの説明はややこしいのでリリースをそのまま抜粋する。
AT制御ソフトウエアをスポーツ走行用に最適化。従来は減速Gや速度などの車両挙動を感知し変速させていたところを、ブレーキの踏み込み方・抜き方、アクセル操作まで細かく感知し、車両挙動の変化が起こる前に変速が必要な場面を先読みすることで、「ドライバーの意思を汲み取るギヤ選択」を実現。プロドライバーによるシフト操作と同じようなギヤ選択を可能にしました。
AT内部の変速用クラッチに高耐熱摩擦材を採用したほか、AT制御ソフトウエアの改良により、世界トップレベルの変速スピードを実現しました。
6MTから8ATへ多段化した上で、クロスレシオ化することによりパワーバンドを活かした走りを実現。また、RZ“High performance”には アクセル操作による駆動力コントロール性能向上のためトルセンLSDを設定しました。
さらに、GPSの位置情報でサーキットにいることを判定すると、特殊な競技用セッティングがチョイスできるようになるのに加え、速度リミッターも解除される。
えーとほかには、シートが25ミリ下がった。それとインパネ、つまり運転席から見えるダッシュボードのほとんど全てが、これまでの通常ヤリスからの流用とは全く別物の専用設計になった。それもレーシングスピードにおける操作で使いやすいようにデザインされているらしいから、商用デザインではなく、もはやプロツールのデザインである。
バンパーにあった後退灯(バックランプ)をリヤのコンビネーションランプに組み込んだのは、壊れやすいバンパー下部から移設してトラブル回数=修理回数を減らすためだ。リヤスポイラー組み込みのハイマウントストップランプも、セッティングでリヤウィングを変えたい時に不便だからコンビネーションランプに組み込んだ。もちろんユーザーがカスタマイズする時も選択肢が増える。
ボディとショックアブソーバーの締結ボルトの数も増やして、レース速度での入力によるアライメント変化を抑制している。
あ、そうだ。忘れちゃいけない。これまで並のエンジンとの組み合わせのRSだけだったATが、MT専用だった速いエンジンのヤツにも用意された。しかも従来のCVTに変わって新開発の8段AT。GR-DATと呼称する。
まあキリがないから、このあたりの改良点詳細そのものに興味がある人は、1月12日に出たGRカンパニーのリリースを読み込んでもらいたい。
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