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「裸の王様だった」 サイバーエージェント新卒社長は挫折から何を学んだのか(1/2 ページ)

» 2024年01月19日 08時30分 公開
[ほしのあずさITmedia]

 「ゆるい職場から早期に退職する」という若手社員の就労観が一時期話題になった。働き方改革の影響で働きやすさは改善されたものの、今度はゆるさが目立つようになり、成長環境を求めて転職するという動きだ。

 厳しすぎてもダメ、ゆるすぎてもダメという、若手育成のバランスが問われる時代の羅針盤となる企業の一つが、サイバーエージェントだ。

 同社は藤田晋氏が24歳で起業し、一代で会社を大きくしたことから、「若手に仕事を任せる文化」が根付いている。失敗を失敗と捉えず、大きな決断経験を積ませることが成長につながるという考えだ。

入社1年目で代表取締役に就任した鈴木雄登さん(画像:サイバーエージェント提供)

 2020年に新卒入社した鈴木雄登さん(DXダイレクトビジネスセンター DXコンサルティング本部 マネージャー)は、まさにサイバーエージェントの文化を体現するような経験を積んでいる。

 新卒1年目に子会社の代表取締役に就任。その後、別の子会社による吸収合併を経験し、現在は本社でインターネット広告のDX部門に所属している。

 常に大きな意思決定と行動力を求められる中で、同社の任せる文化について自身が体感したこと、考えやそこからの学びを聞いた。

入社1年目で代表取締役に しかし、事業はピボット続き

 「事業をつくりたい」という軸で就職活動を進めていた鈴木さん、当時から内定者や入社1〜2年目で社長となり事業をつくっている事例が多かったサイバーエージェントに入社を決めた。「社長に就任し、自分の手で事業を成長させるという、リスクと役割をセットで任せているのはサイバーエージェントだけだった」と当時を振り返る。

 鈴木さんは内定者のうちから藤田氏に新規事業の提案を重ね、新規事業創出プロジェクト「Cycom」での提案で新規事業化を掴み取った。しかし、本格的に進めているところに新型コロナウイルスが直撃。事業はペンディングになり、入社後は社長室内の新規事業準備室に配属された。

 世の中の情勢が大きく変わる中、全社会議で生まれた新規事業(後のFANBASE ARENA)を鈴木さんが担当することとなり、20年9月にCyberArrowを設立。代表取締役に就任した。

 だが、この新規事業も同年12月にピボットとなり、新たな形を探すことに。21年12月に「FANBASE ARENA」を土台にして作ったサービスを抱えた状態で、サイバーエージェントの子会社OEN(東京都渋谷区)と経営統合した。

 CyberArrowとして「FANBASE ARENA」で会社を成長させることは叶(かな)わなかったわけだが、事業のピボットについては「何も思っていない」と話す。

 「ピボットは事業を成功させるために必要な工程だからです。そもそも新規事業は『100回やって1回当たればいい。くじを引くようなもの』と考えていました。内定者時代にも、藤田に提案してブラッシュアップするというのを100回以上やってきたので慣れています」

 事業のピボットについてはネガティブな感情は持っていないという鈴木さんだが、CyberArrowでのマネジメントは「社長失格だった」と振り返る。一体、何があったのだろうか。

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