実現すれば世界初? 特急車両に水素エンジンを載せる? JR東海と組んだベンチャーに聞く杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/9 ページ)

» 2024年02月16日 07時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

約半世紀前、日本初の水素エンジンに関わる

杉山: i Laboの公式サイトによると、武蔵工業大学(以下、武蔵工大)の研究所がルーツとのことですね。いまの東京都市大学です。実は、私の家の近くに東京都市大学の原子力研究所があります。見学会に行ったら、原子炉は武蔵工大の頃につくられたそうで、1989年に運転停止されたそうですね。技術の最先端を行く武蔵工大で、70年に日本初の水素エンジンが動いて、4年後には水素エンジン自動車が環八(東京都道311号環状八号線)を走りました。

小松氏(以下、小松): 現在、国内外で水素エンジンを開発研究しているところは、たくさんあると思います。そのなかで弊社は、水素エンジンの新規開発ではなく、今あるエンジンの活用、水素燃料化(コンバージョン)を開発しています。

杉山: ほかにはない注目点ですね。

小松: モビリティショーやトラックショーなどで、FCV(燃料電池)の展示はあります。しかし、運送業界は「2024年問題」で厳しい経営状況になるなかで、どれだけの会社が新しいFCVを買えるのか。全車両を順次置き換えるとして、いまあるトラックをどうするのか。そこで「ディーゼルエンジントラックを改造して水素で走らせる」というアイデアを事業化しました。

杉山: 低コストで保有車をそのまま維持できる。これは魅力ですね。

左から、i Labo、執行役員の小松久宣氏、営業本部の阪口恵理氏、糸永洋祐氏

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