杉山: 知人の自動車ライターに「ガソリンエンジンよりはディーゼルエンジンの方が改造に適している」と聞きました。それはどういう意味でしょうか。
小松: ひとつはエンジン本体の厚みです。ガソリンエンジンは軽量化も重視されているので部材が肉薄なのですが、ディーゼルエンジンはガッチリつくられている。
杉山: 確かに乗用車は、「軽さが性能」みたいなところがありますよね。燃費の良さにもつながりますし。
小松: 重量車には、がっちりつくられている方が向いているんです。トラックのような高排気量車になるほど、ディーゼルエンジンに絞られています。
杉山: 確かに。乗用車でガソリン車とディーゼル車を比べると、ディーゼルの方が重いです。
小松: 車体は重いけれど、エンジンは丈夫で長く使えます。
杉山: 私もディーゼル乗用車に乗っていますが、低速トルクがとても気持ちいいんですよ。
小松: 弊社は山梨県の甲府市に開発拠点を構えていて、そこでディーゼルエンジンのトラックを持っています。先日、それで広島県へ行ってきましたが、実用範囲は千数百から2000回転の間でした。この間で動かしますが、シフトをポンと落としてスピードを上げても、グーーっと、引っ張ってくれますよね。ガソリンの場合、頻繁にシフトアップとシフトダウンを繰り返さないといけません。
杉山: トラックはマニュアルシフトが多いので、ドライバーのシフト操作が忙しいでしょうね。ディーゼルのトルクなら、2速で発進して、街中ではそのまま走れそう。
小松: プロドライバーの方に水素トラックに乗っていただいたとき、最初は疑っていました。パワーがないんじゃないか、1速からでないと発進できないんじゃないかと。ですがテストコースを走ってもらったら、「いや、これ、2速でいけますね。2速発進で、通常の運転でいけますね」と。そのあと試しに、トラックの荷重ギリギリまでブロックを積んで走ってもらいましたが、やっぱり2速でいけるし、坂道も行ける。「ああ、いい感じですね」という評価をいただいて、ほっとしました。
杉山: そのエンジンは、JR東海の報道公開で展示されていたエンジンですね。
小松: 同型のエンジンの試作機がいくつかあって、その1つです。本番用はトラックに載ってます。
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