杉山: 私は正直、水素ってよく分からないんですよね。「水の素がエンジン」ってどういうことなのかと。私の知識の水素とは、学校の理科の実験でやった電気分解です。水に電気を流すと酸素と水素になって、その逆をやれば電気ができて、燃料電池になる。これはなんとかイメージできるんです。もう1つの水素のイメージは水素爆弾です。電気分解した水素を試験管に入れて、マッチの火を近づけると「ポンっ」て。あれの大きなヤツが爆弾になるんだと。これをエンジンで制御するって大変なことだなあって。ちょっと怖いといいますか。
小松: 怖いといっても、気球にも使われていたんですよ。いまはヘリウムになりましたけど。
杉山: 実用的に使われていた歴史もあるということですが、それをエンジンにするのはどういうイメージになりますか。水素燃料をガソリンみたいに、エンジンに燃料を入れると燃えるというか、小さな爆発が起きる。
小松: イメージ的にはそんな感じです。トヨタさんは液体水素でやっていますね。液体水素をエンジンの中に直接パーっと吹いています。弊社が改造する前のディーゼルエンジンも基本的には同じようなやり方です。大きなピストンの真ん中にバルブがあって燃料を噴射して、そこで爆発させます。水素の場合、弊社では液体ではなく気体の水素を使っています。弊社のターゲットはトラックやバスなどの大きな車で、これらはディーゼルエンジンなんです。
杉山: なるほど、ターゲットは大型自動車ですね。
小松: 乗用車クラスはFCVやEVでいいだろう。それより大きい車になるほど、FCVではパワー不足で、EVで大パワーを出すにはバッテリーをたくさん積まないといけない。やっぱり運送会社としてはトラックの積載量は減らしたくないですよね。今まで3トン積みだったのに「バッテリーを積んだから1.5トンになっちゃいました」では本末転倒で、バッテリーを運ぶトラックになってしまう。
パワーが必要な自動車に対してエンジンを使いましょう、今までのエンジンを水素で動かしましょう、こうした考え方でスタートしました。ガソリン車を水素燃料化するよりも手間がかかりますが、ディーゼルエンジンの市場の方が大きいのです。
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