会社に「成長意欲がない」幹部がいる やっかいである高賃金化(2/5 ページ)

» 2024年02月26日 08時00分 公開
[田尻望ITmedia]

 彼らがいくら年功序列や権威にあぐらをかいていたとしても、意思決定権さえ持っていなければ、あまり大きな問題にはなりません。または、意思決定権を持っていても、すぐに的確な意思決定をしてくれるのであれば問題はないでしょう。

 しかし、意思決定権を持っているにもかかわらず、目の前の物事に対して自分が理解できるまでは意思決定せず、理解しようという気すらない幹部がいると、いくら優れた経営者がいても、いくら優れた若手がいても、彼らの理解力がボトルネックになり、会社の生産性向上、収益向上、結果的に給与アップを妨げるブレーキとなってしまいます。

(出典:ゲッティイメージズ)

 彼らはスピーディーに意思決定できません。みなさんも、お客さまに対して新商品・サービスの導入を提案したとき、幹部クラスの人に「わかりました。じゃあ、とりあえず検討してみます」と言われたものの、いつまでたっても一向に意思決定してもらえない、ということがないでしょうか。

 すぐに決められないのなら、こちらとしては、むしろすぐに断ってくれたほうが気が楽です。私も、大企業の部長クラスの人から、「検討します」と言われたあと、まったく返事をもらえないことがよくあります。

 そういう幹部が意思決定できるタイミングは、同業他社の導入事例や成功事例を知って、社長から「なんだ、あの会社はうまくいっているじゃないか。これと同じような提案がうちにも来ていただろう。なんですぐに導入しなかったんだ!」と言われてからでしょう。そのような幹部層がいることによって、組織全体のスピードが落ち、生産性も落ちて利益も向上せず、社員の給与も上がらなくなってしまいます。

 ちなみに、私はコンサルタントという立場の外部の人間なので、そうした幹部たちがいたとしても、社長と部下たちとの間に入り、意思決定する場で、社長に「それなら、そうしましょう!」と言ってもらえるようなやり方を探せるのですが、社内の人はそのような裏技は使えません。

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