会社に「成長意欲がない」幹部がいる やっかいである高賃金化(5/5 ページ)

» 2024年02月26日 08時00分 公開
[田尻望ITmedia]
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高賃金化 会社の収益を最大化し、社員の給与をどう上げるか?』(田尻望/クロスメディア・パブリッシング〈インプレス〉)

 ここまで述べたように、給与が上がらない原因の多くは、経営者だけでなく幹部層にもあります。今自分が働いている会社が、将来的に給与を上げてくれる会社なのか否かを見極めるには、経営者だけでなく、「枷となるポジション」の幹部層によって機能不全に陥っていないかという点も、大切なチェックポイントとなってきます。

 ちなみに、こうした幹部層の問題は、上場企業など年功序列制度をきちんと導入しているような会社に多いのですが、中小企業や中堅企業でも、古参の幹部層で見受けられます。そう考えると、やはり中小企業や中堅企業でも、給与が上がらない責任の多くは経営者にある、と言えます。

 問題のある幹部を雇っている、その幹部をそのままの状態にしている、というのは経営者の責任でもあります。これは極論かもしれませんが、結局、社員の給与が上がらないのは最終的にすべて経営者の責任と言ってもいいかもしれません。

この記事は、『高賃金化 会社の収益を最大化し、社員の給与をどう上げるか?』(田尻望/クロスメディア・パブリッシング〈インプレス〉)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです。


著者プロフィール:田尻望(たじり・のぞむ)

 株式会社カクシン 代表取締役CEO

 京都府京都市生まれ。大阪大学基礎工学部情報科学科にて、情報工学、プログラミング言語、統計学を学ぶ。2008年卒業後、株式会社キーエンスにてコンサルティングエンジニアとして、技術支援、重要顧客を担当。

 大手システム会社の業務システム構築支援をはじめ、年30社に及ぶシステム制作サポートを手掛けた経験が、「最小の人の命の時間と資本で、最大の付加価値を生み出す」という価値主義経営の哲学、世界初のイノベーションを生む商品企画、ニーズの裏のニーズまでを突き詰めるコンサルティングセールス、構造に特化した高収益化コンサルティングの基礎となっている。

 その後、企業向け研修会社の立ち上げに参画し、独立。年商10億円〜4000億円規模の経営戦略コンサルティングなどを行い、月1億円、年10億円超の利益改善などを達成した企業を次々と輩出。企業が社会変化に適応し、中長期発展するための仕組みを提供している。

 著書に『構造が成果を創る』(中央経済社)、『キーエンス思考×ChatGPT時代の付加価値仕事術』(日経BP社)、『付加価値のつくりかた』『再現性の塊』(かんき出版)がある。


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