会社に「成長意欲がない」幹部がいる やっかいである高賃金化(1/5 ページ)

» 2024年02月26日 08時00分 公開
[田尻望ITmedia]

 給与が上がらない元凶となっているのは、経営者だけではありません。「幹部層」に問題がある会社も数多くあります。

 最も問題視すべきは、年功序列や権威にあぐらをかいた、50代を中心とした幹部たちです。「年功序列で、このポジションにいるから安泰だ」「定年までこのまま何事もなく過ごしたい。できるだけリスクを冒さないようにしよう」と思っている人がたくさんいるのです。

最も問題視すべきは、年功序列や権威にあぐらをかいた幹部たち(出典:ゲッティイメージズ)

 彼らの多くは、新しい知識を身につけるためにもっと勉強しよう、成長しようという意欲に欠ける傾向があります。にもかかわらず経営や事業部における「意思決定権」を持っているという、非常にやっかいな存在です。

 彼らは口では「私たちはもう歳なので、考え方が古い。これからは若い人たちの感性が必要だ」などと言います。若手社員にしたら、「それなら、意思決定権を持つ立場から早く退いてほしい」と思うでしょう。もっと言えば、「権威を武器にしているだけで、成長する気のないあなたたちは、会社にとって邪魔な存在だ」と思っているかもしれません。

 今の世の中は、新しい知識を学んでも、半年後、1年後にはまったく役に立たなくなるような、ものすごいスピードで変化しています。学びや成長をやめた幹部たちが意思決定権を持って組織の上位にいるという時点で、その会社は終わっていると言っても過言ではありません。

 会社として何か新しいことを始めるとき、幹部たちが新しい考え方や仕組みを理解し、意思決定してくれるのを待っている間に、世の中はあっという間に変わってしまい、その会社は大きく後れをとってしまうからです。

 本来であれば、彼らは若手社員たちに対して、「私に知識不足があったら、何でも教えてほしい。私も、もっと新しいことを勉強して成長していくつもりだ」と言わなければなりません。その気概がなくなったのであれば、第一線から退いて顧問や相談役になってもらうべきでしょう。

 彼らが持つ経験や知見、人脈は、この先も会社にとって役に立つはずです。しかし、彼らが意思決定権を持つポジションのど真ん中にいるのは、会社や若手社員たちにとって邪魔でしかないのです。

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