なぜ自分の給与は上がらないのか たった「2つ」のことを理解していない高賃金化(5/5 ページ)

» 2024年02月27日 05時00分 公開
[田尻望ITmedia]
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高賃金化 会社の収益を最大化し、社員の給与をどう上げるか?』(田尻望/クロスメディア・パブリッシング〈インプレス〉)

 「想定価値」の考え方、計算の仕方が理解できると、お客さまに対しても、具体的にどれくらいの価値を提供できるのかを短時間で明確に語れるようになり、もっと商品が売れるようになります。もしあなたが営業なら、この考え方と手法を身につけておくべきでしょう。

 あなたの給与をもっと上げてもらうためには、成果を数値化、価値化し、さらに「想定価値」までを明確にして上司や会社に説明しなければなりせん。

 それ以前に、日本ではそもそも給与交渉をしていない人が多いのではないでしょうか。もしあなたが高い価値を生む仕事をしているのなら、もっと高い給与をもらうべきであり、給与アップを要求するのは正当な権利であると、会社側に主張すべきです。

 また給与交渉をする場合、「こんなに残業して頑張っているんです」「ときには土日も返上で働いています」といったように、成果ではなく、時間で交渉する人がいます。しかし、残業して長時間働くというのは、会社側からすると、余計なコストがかかっており、効率が悪く、1時間あたりの利益が少なくなると捉えられます。

 給与の源泉は「1人1時間あたりの付加価値生産額」です。このことが理解できていたら、残業は安易にすべきではない、ということがわかるはずです。もちろん1時間あたりの付加価値生産性が高い状態で残業してもらうのは、経営者にとってはありがたい状態です。

 「1時間あたりの付加価値生産性×時間」が成果だということを改めて認識しておきましょう。

 ここまで述べたように、あなたの給与が上がらない原因は、あなた自身にもある可能性があるのです。「給与」の源泉が「価値」であることを理解し、自分の成果を「数値化」=「価値化」すること。この2つを理解・実践することで、まずは、あなた自身の力であなたの給与を上げるよう、チャレンジしてみましょう。

この記事は、『高賃金化 会社の収益を最大化し、社員の給与をどう上げるか?』(田尻望/クロスメディア・パブリッシング〈インプレス〉)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです。


著者プロフィール:田尻望(たじり・のぞむ)

 株式会社カクシン 代表取締役CEO

 京都府京都市生まれ。大阪大学基礎工学部情報科学科にて、情報工学、プログラミング言語、統計学を学ぶ。2008年卒業後、株式会社キーエンスにてコンサルティングエンジニアとして、技術支援、重要顧客を担当。

 大手システム会社の業務システム構築支援をはじめ、年30社に及ぶシステム制作サポートを手掛けた経験が、「最小の人の命の時間と資本で、最大の付加価値を生み出す」という価値主義経営の哲学、世界初のイノベーションを生む商品企画、ニーズの裏のニーズまでを突き詰めるコンサルティングセールス、構造に特化した高収益化コンサルティングの基礎となっている。

 その後、企業向け研修会社の立ち上げに参画し、独立。年商10億円〜4000億円規模の経営戦略コンサルティングなどを行い、月1億円、年10億円超の利益改善などを達成した企業を次々と輩出。企業が社会変化に適応し、中長期発展するための仕組みを提供している。

 著書に『構造が成果を創る』(中央経済社)、『キーエンス思考×ChatGPT時代の付加価値仕事術』(日経BP社)、『付加価値のつくりかた』『再現性の塊』(かんき出版)がある。


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