リテール大革命

ブランドを傷付けないために知るべき、ダイナミックプライシング「9つのポイント」(4/4 ページ)

» 2024年02月28日 05時00分 公開
[佐久間 俊一ITmedia]
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値引きが適していないケースも

 例えば、商品によってはブランド力で勝負しており、値引きが望ましくないものがあります。顧客は商品に安さを求めておらず、低価格が来店要因にはならない商品もあります。このバランスを保たずにAIが推奨したような価格をそのまま採用していては、長期的な視点で顧客離反を起こしかねません。

 運営上の課題もあるでしょう。オンライン上で競合の価格を網羅的に把握できるホテル・旅館業と比較し、小売業は競合の価格は店舗に行かない限り分かりません。チラシやWebサイトに掲載しているものはほんの一部であり、かつ「今」の価格とは限らないからです。競合価格の把握という点で、業種によってはアナログな要素を入れて補完する必要があるのです。

 よって、「自社独自の競合価格取得方法を確立すること」「自社独自の価格設定メソッドを確立すること」が必須です。これらができた上で、ITツール選定を行うことが適切なのです。

 DXでよくある失敗のケースがあります。ITツールありきで取りあえず導入してしまった結果、ただデータが出てくるだけで「そのデータを基に結局どうするのか?」という結論が欠落したものになるパターンです。または、そのデータをそのまま採用して、値下げ分に見合う客数や利益増が達成されなかったというケースもあるでしょう。

 値引きや値上げの判断を見誤ると、ブランド棄損という大きな代償を払うことになりますから相当な注意が必要なのです。是非、前述した9つのポイントに留意しつつ、適切なプライシングを通じて自社の収益最大化を着実に実現してください。

 今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。

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