23年に倒産以外で事業を停止した「休廃業・解散」は74件(前年比12.1%増)で、過去最多を5年連続で更新した。12年までは倒産が多く休廃業・解散は小康状態が続いていたが、相次ぐ新規参入で競合が激化するにつれ、休廃業・解散する事業者が増加してきた。
コロナ禍では巣ごもり需要をあてにした参入組も増え、ゼロゼロ融資をはじめとするコロナ関連の資金繰り支援策で落ち着いていた。だが支援の縮小・終了とともに、倒産に加え、休廃業・解散も一気に増加した。
休廃業・解散は、業歴5年未満が目立ち、業歴5年未満は20年が16.6%だったが、21年は31.2%、22年は22.5%、23年は40.5%と約4割まで上昇した。スタートアップ企業が軌道に乗らず倒産する前に早めに廃業を決断したとみられる。
コロナ禍の影響が一部含まれる20年は、売上高は1661億900万円(前年比11.9%増)と在宅勤務などの定着で扱いが増加したようだったが、一方で利益は34億9800万円(同5.4%減)と減益で、運賃伸び悩みとコスト増が影響した。
21年は需要が一巡し、売上高1576億6800万円(同5.0%減)と減収に転じ、利益も27億9800万円(同20.0%減)と落ち込んだ。22年は経済活動の活発化で売上高は1626億1200万円(同3.1%増)と微増だったものの、利益は16億7300万円(同40.2%減)と、燃料費の高騰などで大幅減益につながった。
23年は、宅配など荷物量の増加に加え一部で運賃上昇の流れもあり、売上高は1796億1200万円(10.4%増)と増収に転じた。利益も23億6300万円(同41.2%増)と大幅増益を達成したが、コロナ禍前の19年との比較では、売上高は21.0%増に対し、利益は36.1%減と大幅な減益にとどまった。
コロナ禍で宅配市場は拡大したが、人手不足や燃料高騰、運賃の引き上げ難、競争激化などで「利益なき成長」に陥っていて、24年は「2024年問題」と言われる通り、さらに淘汰が加速する可能性も高まっている。
物流停滞が懸念される24年問題のほか、事故が急増する軽トラック事業者に対し、管理者選任や事故報告の義務付けなどの規制も2月13日、閣議決定された。東京商工リサーチは「軽貨物運送業者は下請構造や競合から運賃値上げが難しい業者も多く、倒産や休廃業・解散をさらに押し上げる可能性がある」と推測している。
本調査は、日本産業分類の「貨物軽自動車運送業」の23年(1〜12月)の倒産、休廃業・解散を集計、分析した。業績動向調査は、22年10月期〜23年9月期を基準に5期連続で比較可能な269社を集計、分析した。
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