リクルートは1月23日、「2024年問題」を抱える物流業界における求人件数と賃金の推移を発表した。2019年と比較するとドライバー職の求人件数は伸長しており、賃金も上昇傾向がみられた。
ドライバー職の求人件数は毎年増加傾向にあり、19年10月を1としたとき、23年時点で求人件数は「2.10」と2倍以上に増加している。
賃金においては、月額給与水準が12年では34.4万円だったのに対し、22年では37.7万円と3万円ほど上昇した。
リクルートは働き方の工夫を行った企業の事例として、セイセイトラフィック(静岡市)の改善事例を紹介した。同社は給与形態を時給から月給に変更することで給与の安定性を確保している。加えて、時間外労働時間を法定内に収められる体系づくりを行った。
時間外労働時間を法定内に収めるために、既存の配送ルートを見直し効率化を図った。今回の法改正では時間外労働時間を年960時間に収める必要があるため、ひと月あたり80時間以内に収める必要がある。既存の「12時間ルート」では、天候や渋滞によってひと月80時間を超過してしまう可能性がある。そこで、新たに「6時間ルート」を設置し、既存のルートと組み合わせることで月内に余裕をもって労働時間を調整できる体制へと変更した。他にも新しい働き手を採用するために「9時間ルート」を新設するなど、3つの改善を行った。
その結果、同企業では月に10〜20時間の時間外労働時間の削減を実現し、新しい雇用の創出にも成功したという。
同社は「ドライバー職の求人ニーズは増加傾向にあるが、まだまだ人手不足感は否めずさらなる人材確保が必要な状況。今後求職者に選ばれるためには、賃金アップだけでなく働き方など賃金以外の工夫も必要になってくる」とコメントしている。
今回の調査は19年10月〜23年10月の期間における「タウンワーク」掲載の平均賃金・求人データと、「リクナビNEXT」掲載の求人データを対象に実施した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング