垂直統合で成功したのは? トヨタとAmazonの事例を見るビジネスモデルが分かる(1/4 ページ)

» 2024年03月11日 08時00分 公開

【基本コンセプト】

 垂直統合とは、製品の研究開発から、製造・販売までのサプライチェーン上の全工程を自社グループ内で行うビジネスモデルです。なお、自社に製品の製造や販売などを行う工程がない場合は、M&Aによって他社の資源を買収し、統合することもあります。

 垂直統合というと自動車産業のような伝統的な製造業が代表事例として知られていますが、2010年代以降はGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)やNetflixのようなデジタル企業も垂直統合によって自社の市場を拡大しています。

 動画配信事業で世界におよそ1億7千万人のユーザーを擁するNetflixは、創業当初こそ動画配信サービスに特化していましたが、2013年以降はコンテンツ制作事業にも参入し、今では世界的なヒット作品を多数制作しています。作品調達と配信(流通)のみだった従来のビジネスモデルから、川上統合によって動画制作の工程も押さえた垂直統合モデルへと変革し、良質な作品を独占して、競合他社との差別化に成功しています。

 また、Googleは2018年に、自社開発している機械学習のための集積回路チップ「TPU」の社外への提供を開始しました。このチップは、IoT環境においてデバイスとサーバーを接続するエッジ・コンピューティングに欠かせない部品であり、コネクテッドカーなどの分野での活用が見込まれています。こうした事業拡張は、Googleのサーバーから ITサービス、クラウド、デバイスまでの垂直統合戦略といえます。

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