日経平均株価が3月3日、4万0109円23銭で取引を終え、史上最高値を更新した。
これまでの史上最高値は1989年のバブル経済のピーク時につけた「3万8957円44銭」だった。その後、バブルの崩壊やリーマンショックを経て一時は7054円まで下落した。株価が低迷した2020年までは「失われた30年」というワードがささやかれ、コロナ禍が追い打ちをかけた。ほんの2年ほど前まで、史上最高値を更新するなど誰が予想しただろうか。
コロナ禍がもたらした世界的なインフレは、日本を除くほぼ全世界の中央銀行をインフレ抑制のための「利上げ」政策に走らせた。一方で、デフレマインドも強かった日本では、世界でほぼ唯一大規模緩和金融政策をいまだに継続している。これが1ドル150円近辺まで急加速した円安の要因だ。
平時であれば日本以外の主要国でも金融緩和政策をとるケースが多く、低金利通貨を調達して高金利通貨で運用する「キャリートレード」の動きは複数の国に分散していた。今回はほぼ日本円のみが売りの対象となったことで円安が進行する形となった。
さらに新NISAの運用先として米国株式指数に連動する投資信託の人気が加速しており、現行のペースが続けば、年間の円売り・ドル買いフローは年間数兆円にも上る可能性がある。
今はプロも個人も円売り・ドル買いを行っており、円安で恩恵を受ける輸出企業を中心とした業績の成長が日経平均株価指数を押し上げていると考えられる。
ただし、日経平均株価の上昇が人々の生活実感や給与、雇用に直接的な影響を与えるわけではないようだ。むしろ相次ぐ値上げや円安による輸入品の高騰もあって、昇給ペースよりも物価高騰ペースのほうが早い「スタグフレーション」を疑う声もある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング