LINEも六本木ヒルズも“出会いの場”です。媒介型プラットフォームの特徴ビジネスモデルが分かる(5/5 ページ)

» 2024年03月17日 08時30分 公開
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【媒介型プラットフォームの落とし穴】

 媒介型プラットフォームの活性化は、そこに参加するユーザーの量が増加することと関係しています。例えば、クレジットカードの加盟店が増えれば増えるほど、クレジットカードを持とうとする人が増えるでしょうし、その逆も然りです。しかし、こういったユーザーの増加は、未来永劫に続くとは限りません。

 また、媒介型プラットフォームがその市場地位を高めるにつれ、参加ユーザーへの待遇の改悪などによって、ユーザー離れが生じることもあります。例えば、出店料や利用料を上げたり、無料で使えていたものを有料化したりすることなどが該当します。

【適用のための問いかけ】

  • 2種類以上の異なる性質のユーザーをビジネスの対象にできるか
  • ユーザー同士が行っていた既存の取引よりも利便性の高いサービスを提供できるか
  • どの種類のユーザーに対して課金をするか
  • ユーザーを媒介型プラットフォームに参加させるためのインセンティブは何か

参考文献

根来龍之『プラットフォームの教科書:超速成長ネットワーク効果の基本と応用』(日経 BP、2017年)

トーマス・アイゼンマン、ジェフリー・パーカー、マーシャル・W・バン・アルスタイン

「ツー・サイド・プラットフォーム戦略:「市場の二面性」のダイナミズムを活かす」

『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』6月号, pp.68-81(ダイヤモンド社、2007年)


この記事は、『この一冊で全部わかる ビジネスモデル』(根来龍之、富樫佳織、足代訓史/SBクリエイティブ)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです。


プロフィール:

根来龍之(ねごろ・たつゆき)

早稲田大学ビジネススクール教授

京都大学文学部卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)。鉄鋼メーカー、文教大学などを経て2001年から現職。早稲田大学IT戦略研究所所長。早稲田大学大学院経営管理研究科長、経営情報学会会長、米カリフォルニア大学客員研究員などを歴任。著書に『集中講義 デジタル戦略』『プラットフォームの教科書』『ビジネス思考実験』『事業創造のロジック』(いずれも日経BP)、『代替品の戦略』(東洋経済新報社)、『IoT時代の競争分析フレームワーク』(編著、中央経済社)などがある。ネット系企業の顧問や既存企業のデジタル対応などの企業研修で実務と関わるとともに経営情報学会論文賞を3回受賞するなど理論構築も行う。

富樫佳織(とがし・かおり)

愛知淑徳大学准教授

学習院大学法学部卒業。早稲田大学商学研究科修了(MBA)。NHK(日本放送協会)ディレクター、放送作家、WOWOWでのプロデューサーを経て2017年から現職。

放送番組の受賞歴に、高柳財団第41回科学放送高柳賞企画賞、第2回衛星放送協会オリジナル番組アワード中継番組部門最優秀番組、WOWOWで放送された『Blueman Group Connect to Japan』で第40回国際エミー賞アート番組部門ファイナリストなど。著書に『やわらかロジカルな話し方』。ビジネスモデル、マーケティング戦略、メディア企業のデジタル戦略を研究分野としている。プラットフォーム企業のアドバイザー等も務める。

足代訓史(あじろ・さとし)

拓殖大学商学部准教授

早稲田大学商学部卒業。早稲田大学大学院商学研究科博士後期課程単位取得満期退学。株式会社日本総合研究所研究員、早稲田大学商学学術院助教、ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)アジア研究所客員准教授などを経て、2019年から現職。早稲田大学IT戦略研究所招聘研究員。専門は、競争戦略とイノベーション、アントレプレナーシップ。主な著書(分担執筆)に『1からのアントレプレナーシップ』(碩学舎)、『モバイルバリューの社会システム』(経済産業調査会)などがある。日本ベンチャー学会清成忠男賞(論文部門(奨励賞))受賞。大手企業・スタートアップにおける経営アドバイザーや社内研修講師もつとめる。


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