同じ魚でも値段が違うのはなぜ? 普通のサバと関サバで10倍ほどの差魚ビジネス(4/4 ページ)

» 2024年03月20日 05時00分 公開
[ながさき一生ITmedia]
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魚ビジネス 食べるのが好きな人から専門家まで楽しく読める魚の教養』(ながさき一生/クロスメディア・パブリッシング)

(6)延縄漁

 「はえなわりょう」と読みます。釣り針を大量に付けた縄を投入し、しばらく待ってから揚げることで漁獲する方法です。原理的には一本釣り漁と同じで魚体の傷みを軽減できるのが強みで、獲れる量も多くなります。ただ、魚が掛かったとしてもすぐには釣り上げられないため、一本釣り漁よりは魚が傷むことが多くなります。

(7)かご漁

 カニやタコ、貝類などを獲る際に特に用いられる方法です。かごを設置してしばらく待ってから揚げることで、そこに入った海産物を漁獲します。傷みを軽減し、鮮度を保持できるのと、水深が深いところにも設置しやすいのが強みです。

(8)銛(もり)突き漁

 銛を持って海に潜り、狙った魚を直接突いて漁獲する方法です。突きどころを間違えなければ傷みも抑えられるため、鮮度抜群な魚を提供できるのが強みです。また、目視で狙った魚を正確に漁獲できるため、資源管理も特にしやすいといえます。

 いかがでしょうか。漁法がさまざまにあることがお分かりいただけたと思います。同じ魚でも、獲り方が変われば、品質も変わります。このことを知っておきましょう。

この記事は、『魚ビジネス 食べるのが好きな人から専門家まで楽しく読める魚の教養』(ながさき一生/クロスメディア・パブリッシング)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです。


ながさき一生(ナガサキイッキ)

 おさかなコーディネータ。株式会社さかなプロダクション代表取締役。一般社団法人さかなの会理事長・代表。東京海洋大学非常勤講師。

 1984年、新潟県糸魚川市にある「筒石」という漁村の漁師の家庭で生まれ、家業を手伝いながら育つ。2007年に東京海洋大学を卒業後、築地市場の卸売企業に就職し、水産物流通の現場に携わる。その後、東京海洋大学大学院で魚のブランドや知的財産の研究を行い、修士課程を修了。

 2006年からは、ゆるい魚好きの集まり「さかなの会」を主宰し、「さかなを捌きまくる会」などの魚に関するイベントをこなす中で、メディアにも多数取り上げられる。2017年に「さかなプロダクション」を創業し独立。

 食としての魚をわかりやすく解説する中で、ふるさと納税のコンテンツ監修や、ドラマ「ファーストペンギン!」の漁業監修を手がける。水産業を取り巻く状況を良くし、魚のコンテンツを通じて世の中を良くするため、広く、深く、ゆるく、そして仲良く、仲間たちと活動している。


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