新テーマパーク「イマーシブ・フォート東京」ってそんなにすごいの? 1万円でも高くないと感じた「没入体験」に迫る(4/6 ページ)

» 2024年03月25日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

観客にも演者にもなれる、十人十色の没入体験

 イマーシブ・フォート東京は、従来のテーマパークとは次の3点が大きな違いであるとアピールしています。

筆者作成

 合同取材ツアーに参加し、確かに従来型のテーマパークと違うことをいくつも実感しました。例えば、従来の舞台は舞台と観客席が分かれており、観客は演者を「見て」楽しむという形式でした。それによって、多くの人たちが同じレベルの感動を同じように味わえるというのが一般的です。しかし、イマーシブ・フォート東京は演者と観客が一体となってストーリーが動いていきます。見る人や、見るタイミングによって感じる内容が異なるという百人百様、個別体験が実現しているのです。

 目玉アトラクションの一つ「ザ・シャーロック」は、2フロア・3000平米の面積を使ったウォークスルー型のイマーシブシアターです。19世紀のロンドンの街並みを舞台に、観客は「いない」存在として扱われたり、街の住民の一人として扱われたり、はたまた演者の一人になることもあります。

 観客は上演時間中、館内を自由に歩き回れます。同タイミングに3カ所以上で各キャラクターの物語が展開しており、酔っ払いがバーでバーテンと話している場面がある一方で、別の場所では事件が起きているなど、見る場面やどの演者を追いかけていくかによってストーリーや感じ方が人によって異なる、というのがイマーシブシアターの魅力なのです。

「ザ・シャーロック」の一場面 観客は演者の後をついてまわり推理していく(撮影:ムガマエ)SHERLOCK HOLMES, DR. WATSON, and are trademarks of Conan Doyle Estate Ltd.(R)
「ザ・キャバレーナイト」では食事をしながらショーを楽しめるようにした(撮影:ムガマエ)

 「生」の体験を、終了後に友だち同士で語り合えば、それぞれが異なる感想を口にすることになるでしょう。個々で体験価値が異なることで新しい発見があり、それがまた次に来たいと思うきっかけになる――こうした点に、イマーシブシアターの醍醐味があります。

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