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20万台を突破した「ミライスピーカー」が米国に “無名の商品”をどうやって売るのかテレビの音が聞こえやすくなる(5/5 ページ)

» 2024年03月26日 08時00分 公開
[小林香織ITmedia]
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目標は3年以内に国内100万台

 国内においてミライスピーカーは、シニア世代をメインターゲットにした製品でありながら電話や店頭販売ではなく、ECで市場を形成してきた。認知が高まってきた22年ごろから量販店やテレビ通販などの卸売販売を増やし、23年はその割合が一層増えてきている。

ミライスピーカーシリーズの出荷台数は右肩上がりで、徐々に卸売販売が増えている(サウンドファン提供)

 2万円を切るミニの発売により購入のハードルが下がった今、テレビCMでのコミュニケーション強化や量販店でのタッチポイントを増やすなどして、さらに売り上げを拡大したいと金子氏。3年以内に100万台の達成を目指すという。

 「聞こえの課題を持っている方は約1200万人もいて、まだまだ成長余地があると思っています。一方で、課題は『曲面サウンド』の価値をどう伝えていくか。マジョリティー層の興味を引き、体験を促すために、常に伝え方をブラッシュアップしています」(金子氏)

技術の分かりにくさ、カテゴリー自体の知名度の低さが課題だと金子氏は話した(筆者撮影)

 中長期的には、他社製品へのビルトインとしてB2Bでの展開も視野に入れる。例えば、ミライスピーカーが内蔵されたテレビを家電メーカーから発売したり、電車やバスのスピーカーに採用してもらったり。サウンドファンがサプライヤーとなって、各社に曲面サウンドを提供したいと考えているという。

 そうして国内で普及を拡大し、それを海外でも展開したい意向だ。3年後の27年までに総売上額の40%を海外が占めるまでに拡大したいという。

 「国内と比較して、米国では『聞こえ』の課題に困っている方が取り得る選択肢が多くあります。そんな中で選んでもらうには、競合とは異なる製品の価値を草の根的に伝えていかなければなりません」(田染氏)

 国内でも米国でも消費者に見つけてもらうための施策が求められるが、聞こえの課題に困っている人は多くいる。潜在顧客に届けることができれば、3年後の景色は大きく変わっているかもしれない。

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