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結局「セルフリーダーシップ」って、何すればいいの? 具体的な3つのヒント仕事を楽しむための「セルフリーダーシップ」入門(5)

» 2024年03月29日 07時00分 公開

連載:仕事を楽しむための「セルフリーダーシップ」入門

 本連載では、たとえどのような状況に置かれても、その状況を自分のプラスに変えていくヒントとして「セルフリーダーシップ」について全5回にわたり紹介していく。

 本連載では、正解がなく先も見えにくい今日のビジネス環境の中で、自分自身で仕事をよりよい状況にしていくヒントとして「セルフリーダーシップ」について全5回で紹介しています。

 最終回となる本記事では、セルフリーダーシップを実践するための3つのヒントをご紹介していきます。

 セルフリーダーシップとは“自分起点で動くことで、より良い状況を自ら作っていく力”です。

 しかし、実際にそれを分かっていても「なかなか最初の一歩を踏み出すのが難しい」「まず、何から手を付けたらいいか分からない」という声を耳にすることは多いです。

セルフリーダーシップ、具体的には何から始めたらいいの?

(1)「大切にしたい思い」を見つめなおす

 そんなとき、1つ目の実践のヒントとして「大切にしたい思い」を見つめなおすという方法があります。

画像提供:ゲッティイメージズ

 入社動機、将来やりたいこと、目指すキャリア像など、自分が大切にしたい思いを書き出してみることはオススメです。まずはここから取り組んでみよう、というトリガーにもなりますし、日々の実践を続ける中でも、定期的に今自分の取り組んでいることは「大切にしたい思い」につながっているか? と立ち返る原点になってくれます。

 また、一人ではなかなか「大切にしたい思い」が思い浮かばないときには、家族、友人、会社のメンバーなど、周囲の人たちと一緒に話をしてみるのもよいでしょう。

 以下に話を聞く観点をいくつかお示しします。

  • 今の会社に入った理由/今の仕事を始めた理由
  • 今の仕事の面白さ、やりがいに感じること
  • 今の自分と同じ年次の頃に悩んでいたこと、壁に感じていたこと
  • 当時の経験から学んだこと、今に生きていること
  • 今後のキャリアプラン

 周囲の人たちの思いを聞いてみることで、自分自身の思いが明確になったり、思わぬヒントが得られたりすることもあります。

(2)「自分で決めて」やってみる

 いざ一歩を踏み出した後も、「周囲からはどう見えているだろうか」「周囲に認められないと、やっている意味がないのでは?」と迷いが生じることもあるでしょう。

 そんなとき、2つ目の実践のヒントとして「自分で決めて」やってみるということが大事になってきます。

 主体的に行動をしていくには、「やりたいと思ったことに対して、自分の意思で動けている」という感覚が必要と言われています。いわゆる、内発的動機付けによる行動を増やしていき、その気持ちに従って行動してみることが大事になってきます。

 1つ目のヒントでお伝えしたような「大切にしたい思い」などとつなげながら、自分自身がやってみたいと思うこと、やれそうだと思えることに対して、周囲からの評価ではなく、自分自身で決めて、動いてみる、やってみるという経験は、セルフリーダーシップの発揮を後押ししてくれると言えるのです。

 そのための第一歩として、自分自身の過去の経験を振り返るのは有効です。学生生活、クラブ活動、アルバイト、習い事、趣味の活動……などの過去の経験は、今までに皆さんが自分で決めてやってきたこと、やれてきたことのサンプルです。

 そこでの経験をヒントにしながら、今目の前の仕事の中で活用できそうなことはないか? を考えてみるのもよいでしょう。

 以下に経験を振り返る観点をいくつかお示しします。

  • 楽しかった、没頭した、学べた、力を発揮できた経験
  • 人から感謝された、貢献できた経験
  • 無理していた、悩んだ、しんどかった経験
  • リフレッシュできた、気持ちが楽になった経験

(3)自分自身のことを「周囲に発信する」

 上記で2つのヒントをお伝えしてきたものの、職場でセルフリーダーシップを発揮していく際に、一人では実践を続けることが難しい場面も沢山でてきます。

 そんなときは、3つの目の実践のヒントとして、自分自身のことを「周囲に発信する」という方法がオススメです。

画像提供:ゲッティイメージズ

 自分自身の置かれた状況やそのときの気持ち、今取り組もうとしていることやつまづいたりモヤモヤしたりしていることなどについて、一人で悶々と抱えているだけでは周囲に伝わりません。

 自ら発信し、伝えることで「◯◯さんはそういう方がやる気が上がるんだ」「そのやり方だとスムーズに進むのか」など、周囲からの理解も得やすくなります。

 また、自分から発信することに加えて、周囲から自分自身はどう見えるか聞いてみることも大切です。

 「私の強みや、いいなと思うところを教えてください」「私らしい個性、人とは違う持ち味って何だと思いますか?」などと聞いてみることで、周囲からはどんな見え方をしているのか、認識をすり合わせていくこともできます。

 周囲からの理解が得られると、必要なサポートが得られたり、他のメンバーとのがつながりができたりと、得られるサポートやできることの輪が広がっていきます。周囲の力を適切に借りることで、自分自身の可能性をどんどん広げていくことができるのです。

 加えて、こういった動きを取ることで、あなた自身の言動が職場に与える影響力も大きくなっていきます。セルフリーダーシップを発揮するあなたの姿を通して、周囲のメンバーのセルフリーダーシップもより引き出されていきます。そうすることで、自分自身の置かれた状況だけでなく、職場全体を良い状況に変えていくこともできるのです。

 ここまで、セルフリーダーシップを実践するための3つのヒントについてお伝えしてきました。お伝えしたことはあくまで一例であり、自分自身のやってみたいこと、やりやすいことから、自分なりのやり方で、選択をしながら前に進んでいくことが重要です。

 ありたい未来を自分でつくるには、どんなアクションが取れるか? まずは1つ思い浮かべるところから、近くの誰かと話してみることから、はじめてみませんか。

執筆者プロフィール 関根彩夏(せきね・あやか)

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ HRDサービス開発部 研究員

2017年リクルートマネジメントソリューションズ入社。営業職を経て、アセスメント研修・多面(360度)評価などのアセスメントサービスの商品開発に携わる。現在は、主に新人・若手社員、中堅社員向けのトレーニングサービスの企画・開発に従事。


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