三菱自動車にファシリティマネジメント部が発足したのは18年4月、新オフィスビルの完成前の話だ。それまでのファシリティは地区ごとに担当部署があったため、部分最適なものとなってしまっていた。「全体を俯瞰する、一気通貫で行える組織を、設備、管理、人を集めて作ったのが始まりだった」と加藤氏は振り返る。
ファシリティマネジメント部として「社員が働きがいを持って働くこと」にこだわっているという。
「働きがいは自分の仕事に誇りを持つことから生まれる。仕事に誇りを持つことは、本来やるべき仕事で成果を挙げることから生まれる。会議室を探して予約する、プロジェクターを会議室に持って行って設置する、といった雑務は、本来やるべき仕事ではないので、自信につながらない。
むしろ、それら無駄な時間を徹底的になくすことで、会議そのものや仕事に集中できるようになり、成果を挙げられ、誇りを持て、働きがいにつながるのではないか」(加藤氏)
「コロナ禍を経て、働く場所はどこでも良い、ABW(Activity Based Working)という考えが主流になってきた。これからのオフィスはこれまでのオフィスと同じであってはいけない、皆が来たくなるオフィスにしないといけない」と加藤氏。「1人でも仕事はできるけど、ホワイトカラーの生産性を創造性だとすると、色んな人とコミュニケーションを図り、お互いの発想を引き出すことが不可欠。であるなら、ワクワクできるような職場環境を作る必要があるのでは」と問いかける。
「どの会社にも“管理”と名のつく部署がある。私たちの部署ももともとは管理本部だった。しかし、声を大にして言いたいのは、管理するのではなく社員を支援する側でありたいということ、上の方ではなく、社員を向いた仕事をしたい。
社員が働きがいを持って働きやすい環境を作ることで、社員にとっても会社にとってもWin-Winになるのではないか」(加藤氏)
その願いは少しずつかなっている。「SmartOfficeNavigatorを入れているのは岡崎地区でも一部のみ。そのため、『いつになったらこのシステムを、うちでも入れてもらえるのか』という問い合わせをよくもらう」と甲能氏。「不満の声に聞こえるかもしれないが、これは『このシステムを入れているところがあるのだから、自分の職場にも入れてもらえるに違いない』という期待感、モチベーションにつながっているのではないかと思っている」と話す。
加藤氏も、社員から「仕事しやすい環境が整ったから、会社が過ごしやすくなった。休日も会社に来たい」と言われたことがうれしかったと顔をほころばせた。「この仕事をしていて良かった。最高の褒め言葉をもらえた」(加藤氏)
今回のSmartOfficeNavigatorの導入は、とっかかりにすぎないと加藤氏は語る。今後も無駄な時間を徹底的に省き、社員の生産性を上げられるよう、頭の中にあるアイデアを形にしていきたいと締めくくった。
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