ポルシェといえばドイツの高性能スポーツカーメーカー、いや、今やプレミアムブランドとしてSUVまでも生産する高級自動車メーカーである。
そのポルシェのBEVが2022年、海上輸送の最中に火災事故を起こし車両運搬船を沈没させた。現在、海運会社である商船三井と裁判中である。
かつてポルシェはバッテリーセルのシーリング不良でリコールを起こしたことがあり、あの船舶火災事故も同様の原因である可能性が高い。
ポルシェを含めたフォルクスワーゲン(VW)グループのBEVに採用されているのは、現在はドイツ製のリチウムイオンバッテリーだが、当初は韓国のLG製も使われていた。このLG製のバッテリーはゼネラル・モーターズ(GM)や現代自動車も採用しており、これまでに起こった火災事故の発火原因である可能性が高いと報告されている。
VWグループは結局、バッテリーの品質を高めなければBEVを安心して買ってもらうことができず、自社工場を続々と建設してきたが、その間に中国から安いBEVがどんどん持ち込まれて、BEVの販売が落ち込んでいる。
さらにドイツではBEVに対する補助金が1年前倒しで打ち切られるなど、踏んだり蹴ったりの状況といえそうだ。
現在のところ、BEVの船舶輸送に関しては制限が課せられるところも増えてきた。これを解決しない限り、BEVの販売台数を大幅に増やすことは物理的にも難しくなっている。
中国の一帯一路構想が不発に終わりそうであるから、海上輸送は中国から欧州にBEVを輸送する手段としても欠かせない。今後はどうやって欧州へBEVを運ぶのかも課題になってきそうだ。
一方で日本メーカーのBEVに関しては、こうした火災事故はほとんど聞いたことがない。これは中国の情報統制の影響や海運会社の違いなどはほとんど関係なく、単純にバッテリーの品質によるところが大きい。
エネルギー密度の高いリチウムイオンバッテリーは生産工程での品質管理が信頼性を大きく左右する。日本の電動車はすべて高品質なバッテリーだけを搭載してきたから、発火事故などはほとんど起きなかったのだ。
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