山手線沿線の再開発が進む 「新宿、渋谷、品川」駅の工事はいつ終わるのか東京「だけ」は勝つために(3/4 ページ)

» 2024年04月25日 07時00分 公開
[小林拓矢ITmedia]

東急の街・渋谷、JR東日本と東京メトロも一緒に

 新宿に続き、渋谷も長期にわたって工事が進められている。副都心線の開業、同線と東急東横線の接続、合わせて東急東横線の地下化から、渋谷駅周辺は長い工事期間に入っている。

 この工事により、利用者の間では渋谷駅の迷宮化や、移動の不便さが問題視されるようになった。ただ、渋谷駅は継ぎ足しに継ぎ足しを重ねて駅が形成されてきた歴史もあり、それらを整備しようとすると大規模な改造工事が必要になるのは、致し方ないことである。

 JR東日本では埼京線や山手線、東京メトロでは銀座線のホーム再整備や移設などが行われ、そのたびに運休などが実施された。「でも、そもそも東京メトロ銀座線の渋谷駅って、東急グループの実質的創業者・五島慶太による東京高速鉄道の駅だったよなあ」とも思ったりする。

 渋谷を巡ってさまざまな経緯を持つ鉄道各社と行政の調整により、現在の再開発が進められることになった。

渋谷駅桜丘エリア

 渋谷駅周辺の再開発は、順調だ。渋谷駅桜丘口エリアでは、東急主導の開発であるにもかかわらず、JRの改札が備えられる。混雑の激しい渋谷駅の改札をよりスムーズにできる、といったメリットがある。

 同エリアの住民にとって、ここに改札口ができることは悲願であった。2024年秋に改札ができ、駅舎は2027年の完成を目指している。現地を見て、ここに改札ができると渋谷駅周辺の混雑は緩和できると感じる。

 渋谷駅の面倒くささを解決できるのは、2027年度オープン予定の「渋谷スクランブルスクエア」(中央棟・西棟)が開業してからのことになりそうだ。現在オープンしている渋谷スクランブルスクエアは東棟で、巨大な建築物であるものの、計画の一部でしかない。こちらができることで、渋谷駅はより利便性の高いものになり、駅周辺の回遊性も高くなる。

ここに「渋谷スクランブルスクエア」(中央棟・西棟)ができる

 「できるまで、もうしばらく辛抱が必要だ」と言ってしまっていいのか分からないが、完成することで駅自体は使いやすくなるだろう。

 再開発で不動産価値を向上させるだけではなく、鉄道の価値も向上させる。そのために、いったんは不便にせざるを得ない、というのが渋谷駅である。もっとも、不便になっている期間が長いため、利用者から不満が出てくるのも理解できる。

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