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社員が「記名式」で社長に意見 「三行提報」はなぜ99%の提出率を誇るのかAIを使った分析も(4/4 ページ)

» 2024年04月25日 08時30分 公開
[大久保崇ITmedia]
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AI活用でさらなる進化を目指す

 2023年からはAIを導入し、同制度をさらに進化させようと試みている。AIを導入する目的は「スクリーニングの効率化」と「提報の可能性を広げる」ことにある。

 これまでは2000件に及ぶ提報を、多くても10人ほどのチームで精査していた。しかし、AIを導入したことで作業時間は一気に半減。AIが第一次のスクリーニングを行い、人は最終的なチェックに専念できるようになった。渡辺氏は「AIのおかげで、より多くの社員の声を見逃さず拾い上げられるようになっている」と話す。

 だが同社が本来AIに期待していることはスクリーニングの効率化よりも、提報の可能性を広げる点にある。AIがシステム内に蓄積されたデータベースを分析し、情報の検索性を高め、集まった情報を最大限に生かせるようにしたいと考えているのだ。

経営 渡辺均氏(提供:サトーHD)

 現状、システムにキーワードを入れて検索すると、関連する情報が800〜900件近くあがってくるため、欲しい情報にたどり着くのは困難である。しかし、そこをAIが分析してある程度スクリーニングできるようになれば、所属する部署に関係する情報だけを抽出することも可能になる。実現すれば、埋もれていたかもしれない情報を余すことなく活用できるようになるだろう。

 45年以上続く提報の制度は、最新のテクノロジーと掛け合わせることでまだまだ進化する可能性を秘めている。

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