近年、JRE BANKの例のように銀行代理業社が事業会社をサポートする形で銀行サービスに参入する例が増加している。例えば住信SBIネット銀行では「NEOBANK」というネットバンキングのブランドを立ち上げ、「高島屋NEOBANK」や「第一生命NEOBANK」といった具合に、異業種をスムーズに銀行参入させている。
本来、銀行業は「免許制」という許認可システムの中でも非常に厳しい審査を突破しなければ営めない。審査期間は登録制である証券会社の設立よりも長期であり、資本金要件も20億円と高額だ。またこの資本金要件も、実務上は30〜50億円程度なければ赤字期間に資本金額が割れてしまうこともあるため、なかなか免許が下りないのが実情だ。
そこで、すでに免許を有している銀行事業者とタッグを組み、既存の銀行インフラや技術を利用して、顧客に対して広範囲の金融サービスを提供する動きが生まれている。これを一般にBaaS(バンキング・アズ・ア・サービス)と呼ぶ。
BaaSの例が増加している背景には、2010年代後半から隆盛したフィンテックが成熟し、ネット銀行を中心に、銀行の複雑なシステムやサービスをテクノロジーの力でパッケージングすることができるようになったという点が大きい。
では、今このタイミングでBaaS参入が増えている理由は何だろうか。その大きな要因として、日銀による金融政策正常化の見込みが挙げられる。
政策金利が高騰すると、貸付金利が上昇し、銀行が運営する金融商品に対する投資収益率が向上する。これにより、金融セクターへの投資が魅力的になると同時に、金融サービスの提供も収益性が高まる。すると、新たな収益源として金融業界への参入を考慮するケースが増えるのだ。
高金利環境では、伝統的な銀行業務だけでなく、さまざまな金融サービスがより高い収益を生み出せるようになる。異業種企業は貸出金利と支払い利息間の利ざやを利用して、自社の核となる事業にシナジーを生み出す新たな金融製品やサービスを開発することが可能だ。
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