という話を聞くと、「小さな自治体は財政が厳しいのでしょうがない」とかなんとか擁護する人もいるだろうが、奈井江町では先ごろ22億円かけた瀟洒(しょうしゃ)な新庁舎を建てたばかりだ。
2022年度(令和4年度)決算でも一般・連結ともに赤字なし。地方公共団体の財政の全体像を浮き彫りにする「健全化判断比率」を見ても、健全化の必要となる基準を大きく下回っている。
つまり、「日当8500円を1万5000円にしたら財政が破綻します」というほど経済的に困窮している自治体ではないのだ。それは裏を返せば、この町ではシンプルにハンターという人々の労働対価を、高校生のコンビニバイトと同程度に見積もっていたということなのだ。
5月27日の報道によれば、三本英司奈井江町長がハンターへの報酬増額を検討しているという。ハンターという特殊技能を持つ人々への敬意を忘れず、その危険性や労力に見合う報酬にしていただきたい。
ただ、残念ながら、これから奈井江町のような問題が全国各地で多発していくだろう。自分を犠牲にして地域社会の安全を守ってくれるような人々が安く買いたたかれてしまい、その分野の成り手が激減していく、という負のスパイラルが起きるのだ。
なぜそんなことが言えるのかというと、日本には「低賃金」という病の原因の1つでもある「労働者の責任感に甘えすぎる問題」があるからだ。
「は? なんだよそれ」と感じた人のために、この問題を分かりやすく一言で言えばこうなる。
「技術や労力をかんがみれば本来、高い報酬を支払わなくてはいけない仕事なのに、『みんなの役に立ちますよ』などとまじめな日本人労働者の責任感につけ込んで、常軌を逸した低賃金でコキ使う日本の悪しき商習慣」
思い当たる人もいれば、まだピンとこない人もいると思うので順を追って説明しよう。
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