1つめの共通点は、普段は別の仕事をしている人たちが「有事」の際に出動するスタイルで、出動する際に報酬が支払われるという点だ。
総務省の「非常勤消防団員の報酬等の基準」によれば、災害に関する出動については、1日当たり8000円が標準だ。上記以外の活動は日当4000円。そう聞くと、「おや?」と思った人も多いだろう。消防団員の災害時の報酬は、奈井江町がハンターに支払おうとしていた日給8500円と近い。つまり、奈井江町ではクマ駆除の報酬を、消防団員の災害出動を基準に考えていた可能性があるのだ。
2つめの共通点は、クマ駆除のハンターと同様に、命の危険があることだ。消防団員は地域社会の人々なので、災害が起きた時、遠方から駆けつける消防士よりも早く現場に到着できるという強みがある。が、それは裏を返せばそれだけ災害に巻き込まれる危険性が高いということだ。
それがうかがえるのが、東日本大震災だ。消防職員27人が殉職したのに対して、消防団員はなんと254人も亡くなっている。
そして3つめの共通点が、「現場の負担が急激に重くなっている」ことである。
先ほど申し上げたように2023年、クマ類による人身被害は198件(219人)で過去最多となった。それだけ自治体から猟友会に声がかかって駆除やパトロールに動いたというわけだが、一方でマンパワーはかなり厳しい。
狩猟免許を持つ人は4562人(2022年)。過去最少だった2006年度から900人ほど増えたというが、ピークだった40年ほど前の半数に満たない。しかも、高齢化が進んでいる。60歳未満の割合は43.5%なので、過半数はシニアハンターだ。ということは、これから年を追うごとにハンターは加速度的に減っていくことは目に見えている。クマの人身被害はこれからますます増えていく恐れもあるというのに、だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング