王者楽天ポイントに迫れるか? 新生Vポイントの“勝算”「ポイント経済圏」定点観測(5/5 ページ)

» 2024年06月03日 17時38分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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Vポイントの勝算は金融にあり

 各経済圏の強みを次のように見てきた。

  • dポイント経済圏:モバイル通信、クレジットカード
  • Pontaポイント経済圏:モバイル通信
  • PayPayポイント経済圏:コード決済、EC
  • 楽天経済圏:EC、クレジットカード、金融

 それぞれが強いサービスを起点に経済圏の拡大を目指していることがよく分かる。ではそんな中で、新生Vポイントの強みと勝算はどこにあるのか。

 「新生Vポイントの強みは、やはり金融の部分の強さだ」とMMD研究所の吉本氏は指摘する。運営母体であるSMBCグループは、三井住友カードと三井住友銀行という非常に強い金融サービスを持つ。そして証券では業界トップのSBI証券との連携を強めており、こと金融サービスにおいては楽天経済圏をもしのぐ立ち位置にある。

 これがデータに表れているのが、ポイントを活用したポイント運用やポイント投資の利用状況だ。「Vポイントユーザーの金融リテラシーや意識は非常に高い。ポイント運用やポイント投資で、いろいろなサービスをアクティブに活用していますか、と聞くと、Vポイントの割合が高い結果となった」(吉本氏)

Vポイントユーザーは、ポイント投資やポイント運用の利用率が高い。この分野のサービスと相性がいいことがうかがえる(MMD研究所 2024年1月調査より)

 もう一つ、他の経済圏にない強みが法人向けサービスだ。メガバンクである三井住友銀行が法人に強いのはもちろんだが、三井住友カードは決済プラットフォーム「stera(ステラ)」で店舗加盟店を続々増やしている。このメリットは、消費者であるユーザーだけでなく、店舗側からも購買・販売データを集められることだ。

三井住友カードの決済プラットフォーム「stera」。昨今小売店舗はもちろん、医療関係などでも非常による見かけるようになった

 共通ポイントにおける経済圏のマネタイズ方法は、自社のサービスに誘引することだけではない。データを元に加盟店へのマーケティング支援を行うビジネスが、もう一本の柱だ。

 そもそも元祖共通ポイントであるTポイントは、さまざまな加盟店から得たデータを活用して、キャンペーンなどの施策を提案するビジネスとして始まっている。新生Vポイントは旧Tポイントのノウハウを活用しながら、さらに多彩な決済データを利用することで、新ビジネスにつなげていく狙いがあるわけだ。

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