石井: 「Adobe Firefly」の活用方法は、大きく3つの方向性が考えられると思っています。今回はそれぞれの使い方について、具体的にご紹介します。
1つ目が、「実写におけるレンポジや撮影の代替」についてです。まずは、クリエイターが「Adobe Firefly」で生成した画像をご覧ください。(※レンポジ:「レンタルポジ」の略で、ストックフォトの意)
石井: クリエイティブの現場では、「イメージ通りの素材がない」や「コスト的に撮影ができない」「そもそも現実ではあり得ない状況の素材がほしい」などのさまざまなケースがありますが、「Adobe Firefly」を活用すれば、一瞬にして思い描くイメージを生成することが可能です。
また、スーツの色や髪色の変更、顔の向きなどの調整は、従来だととても手間がかかるものでしたが、それらも簡単に実現できます。これにより、実制作においても、ラフ案の作成や修正にかかる日数を短縮できるだけでなく、より多くのデザイン制作が可能になったり、随時具体的なイメージを擦り合わせられるようになったりと、大きな業務効率化につながるはずです。
石井: 2つ目、「イラストの生成」についても活用方法をご紹介します。
こちらが実際に生成したイラストなのですが、ご覧いただくと、タッチの多様さを実感いただけるのではないかなと思います。
石井: そして実は、この中に200回ほどプロンプトの入力を繰り返し、こだわり抜いた作品があります。それは、左側の縦の女性のイラストです。デザイナーによると、何度も調整しながら、繊細なグラデーションの表現にたどり着いたそうです。
一方で、下段左から二つ目、絵の具で描かれた風景画は、たった1回の入力で生成されたもの。「Adobe Firefly」上ではタッチや色合いなども選べるため、できるだけ早く欲しいイメージにたどり着けるようにもなっているのです。
こうしたイラスト生成は現場レベルでも活用が進んでいます。例えば、動画制作時に欠かせない絵コンテも「Adobe Firefly」を使って作成できるため、広告主様への確認や、制作進行時の認識合わせにも有効だと考えています。
石井: 最後が「存在しないものの生成」についてです。
こちらをどう広告領域に活用していくかは未知数なのですが、想像力次第で世の中にないものをアウトプットできるというのは、非常に面白いと思っています。
例えば、左上の宇宙服姿のイメージは、動画のサブスクリプションサービスを担当しているクリエイターが制作したものなのですが、「こんな危機的状況でも、見たいコンテンツがある」といったコピーと合わせることで、これまで以上にインパクトのある訴求ができるはずです。
石井: このようにさまざまな素材を生成できる「Adobe Firefly」ですが、広告運用に活用していくには、各プラットフォームで推奨されているサイズへのリサイズも欠かせません。
昨年(2023年)には、さまざまなプラットフォームのサイズに合わせて自動生成する機能が追加されました。元素材では大きさが足りない場合も、自然な形でリサイズできるようになっているため、運用パフォーマンスの向上にもつながります。
デジタルクリエイティブ領域は生成AIの登場によって大きな変革期を迎えています。
この変革期においては、リスクヘッジをしながらもPoCを経て広告文脈においていかに有用性を出せるかがその先の分岐を大きく変えると考えています。近い未来に待ち受けるこの分岐が良い方向に向くよう、好奇心を持って取り組んでいきたいと考えています。
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