生成AIでデジタル戦略はこう変わる AI研究者が語る「一歩先の未来」
【開催期間】2024年7月9日(火)〜7月28日(日)
【視聴】無料
【視聴方法】こちらより事前登録
【概要】元・東京大学松尾研究室、今井翔太氏が登壇。
生成AIは人類史上最大級の技術革命である。ただし現状、生成AI技術のあまりの発展の速さは、むしろ企業での活用を妨げている感すらある。AI研究者の視点から語る、生成AI×デジタル戦略の未来とは――。
この記事は、博報堂が運営する“生活者データ・ドリブン”マーケティング通信が2024年5月7日に掲載した「AI×デジタルクリエイティブ最前線 〜成果を最大化するオリジナルAIプロダクトおよびAdobe Firefly活用事例〜【セミナーレポート(前編)】」に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。
ChatGPTとAdobe Fireflyの登場は、ネットやスマホの出現と同等のインパクトをもたらす変革期に突入することを意味しています。過去を振り返っても、イノベーションが起こった際の先行者優位は変わらず、「いかに数年先を見据えて、アーリーアダプターたりえるか」が今後の分岐になってくるのではないでしょうか。
そんな変革初期にどうわれわれは向き合っていくのか――博報堂DYグループが主催する“生活者データ・ドリブン”マーケティングセミナーでは、「AI×デジタルクリエイティブ」を軸に、クリエイティブ領域におけるAI活用の可能性と、Adobeの生成AIサービス「Adobe Firefly」の活用事例を紹介するセミナーを実施。本稿では、セミナーの内容を編集してお届けします。
<後編:画像生成AI「Adobe Firefly」は何がすごい? 業務をラクにする3つの活用法>
デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社
プロセス&クリエイティブデザイン本部
副本部長兼クリエイティブ推進局局長
株式会社アイレップ
第1クリエイティブUnit/テクノロジービジネスUnit
Division Manager
※社名・肩書はセミナー開催時のもの
※デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社と株式会社アイレップは2024年4月に統合し、株式会社HAKUHODO DY ONEとして引き続きデジタルマーケティング領域を担っている。
石井: デジタル広告の現在地に触れるにあたって、まずはその変遷を振り返ってみたいと思います。
デジタル広告が増え始めたのは2008年頃。PC全盛期で、メディアのトップ画面が主な出稿先でした。そのため、それまでの純広告時代と同様に、枠を獲得する「バイイング力」や「コストでの差別化」が重要視されていました。そこから2010年代に入ると、スマートフォンが普及し、ソーシャルメディアが急速に浸透。デジタルテクノロジーの活用も進み、細かいターゲティングができるようになったことから運用型広告の時代に突入し、「設計力」や「運用力」が求められるようになりました。
そんな流れをへた2020年代における大きな変化は、プラットフォーム側のアルゴリズムの自動化です。長らく人の手で運用されてきたアルゴリズムがAIで運用されるようになったことで、デジタル広告の在り方も変化を迫られています。
石井: 下図は、デジタル広告の運用にかかわる要素の変化を図式化したものです。
プラットフォーム側の「アルゴリズム」、広告会社などの「運用ノウハウ」、広告そのものの「クリエイティビティ」の3つの比重を示しています。
石井: 中央のグラフを見ると、アルゴリズムの割合が大きくなり、運用ノウハウの割合が縮小していることが分かるかと思います。そんな状況で高パフォーマンスを目指し競合他社と差別化していくには、クリエイティビティを強化していく必要があると考えています。
こうした現状の中、デジタル広告におけるクリエイティブ業務にどうAIを活用できるのか、そして、どんな未来を目指していくべきなのか、尾崎とともにお話させていただきます。
特にデジタル広告でパフォーマンスを高めていくためには、短納期や大量生産といったワークプロセスが欠かせませんが、当然、人の手だけで制作を進めていくのは厳しい状況です。そこにAIを活用することで、業務の自動化・効率化を実現できるようになります。
尾崎: ただ、クリエイティブ業務の効率化は、早期に限界に達してしまう可能性があると考えています。なぜなら、効率化が進み、誰がやっても再現性があるような状況になれば、高パフォーマンスを出すアウトプットは一つに収束され、競合他社との差分がなくなってしまうおそれがあるからです。
だからこそ「自分たちのクリエイティブや商品価値をいかに高めていくか」「生活者に対してどう価値を創造していくのか」を突き詰めて考えることが、今後は一層重要になると考えています。単に自動化のためだけにAIを用いるのではなく、“人”を中心としたAI活用を考える。それこそが、未来への突破口となるはずです。
石井: そうしたクリエイティブへのAI活用を実現する鍵となるのが、クリエイターです。
博報堂DYグループはクリエイターの発想支援パートナーとして、クリエイターの育成・支援や、クリエイティブ業務に関する環境整備に取り組んでいます。その取り組みの一つが、クリエイティブプラットフォーム「PING-PONG」の構築です。
博報堂DYグループのオリジナルAIソリューション「H-AIシリーズ」やChatGPT、Adobe、チャットツール、クラウドなどの各種サービスを統合し、クリエイターがシームレスに活用できる環境を目指しています。「PING-PONG」を通して、クリエイターがAIを自分の手足のように使える環境づくりができれば、クリエイターの発想力・選定力のスキルアップはもちろん、クリエイティブ制作工程の効率化・量産力の拡大にもつながるはずです。クリエイターの意見を第一に、継続的にプラットフォームを改善し、利便性も追求していきたいと考えています。
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