マーケティング・シンカ論

色んな外資マーケターに聞いてみた 高給取りをかなえる「マーケティング思考力」って結局何なの?(1/4 ページ)

» 2023年11月07日 08時00分 公開
[小林幸平ITmedia]

本記事は、小林幸平氏のnote「色んな外資マーケターに聞いてみた。高給取りを叶える、”マーケティング思考力”って結局何なの?」をITmedia ビジネスオンライン編集部で一部加筆・編集の上、転載したものです(無断転載禁止)。

筆者プロフィール:小林幸平

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京都大学大学院医学研究科卒業後、 日本ロレアル株式会社に入社。新規ヘアケア製品ノーシャンプーのプロダクトマネジャーとして新製品の開発および販売戦略立案を担当し、同製品は楽天市場総合ランキング1位を獲得。その後デジタル・イーコマースにおけるマーケティング責任者として事業拡大戦略の立案と推進に取り組んだのち、2019年8月よりメイベリンニューヨークのアジアヘッドクォーターにてリージョナルマーケティングマネジャーとしてビジネス統轄を担う。その後、2021年2月よりノバセル株式会社の執行役員として同社事業を牽引。

また上場企業へのアドバイザリーや、合同会社スモールミディアムCEOとして、D2Cブランドの経営も行う。

公式noteはコチラから。


 前回の記事で、フレームってそんな使えないし、世にいう“マーケター”と呼ばれる人たちは、みんなが思ってる以上にそんなものに頼って仕事してないよ、という話をしました。「フレームフレームっていうのは嫌いだ! マーケティング思考力の方が重要だ!」という内容を書いたので、今日はその「マーケティング思考力」なるものが何なのかを、ふわっとさせずに核心に迫りたいと思います。

 突然ですが、皆さんはなぜYouTubeの「THE FIRST TAKE」がはやるか説明できますか? 聞き方を変えると、THE FIRST TAKEが出始めたころに(1)誰よりも先にこのコンテンツの存在を察知し、(2)これはトレンドになると予測する――ことができたでしょうか?

 THE FIRST TAKEがそれなりにはやって検索され、多くのアーティストとコラボし始めてキャズム(普及の過程で「乗り越えるべき溝」の意)を超えきったタイミングで、「なぜTHE FIRST TAKEがはやったのか」を語れるのはすごいと思いますが、あくまでそれは後付けでフレームを使って整理をしただけです。

 そうではなくて、誰よりも情報感度をあげてこのコンテンツを察知しておくこと、そしてこれがキャズムを超えてはやる前から、YouTubeにおけるトレンド把握・顧客理解をすることで、この爆発をもし予測できたら?

 今日お話しする「マーケティング思考力」とは、それを実現するための能力を、私の解釈で分解し、説明しています。

なぜフレームより”マーケティング思考力”が重要なのか?

 ここは前回のnoteの振り返りになるので、前回読んでいただいた方は飛ばしてください。

 前回、こんなお話をしました。

 「外資マーケ出身のマーケター=フレームで仕事をしている」と思われがちで、特に転職したときには「うちの会社にも、前職の経験を生かしてトップレベルのマーケティングフレームをインストールしてほしい」と言われることが多いです。

 前職の知り合いで、私のように外資界隈の外に出たようなキャリアの人と久しぶりに飲むと、ほぼこの経験をしています。

 でも実際のマーケティングの現場ではほとんどフレームは使いません。なぜなら、ということで、大学受験の時、物理の先生に言われた言葉を紹介します。

「公式は覚えるな。京都大学に公式で解ける問題は出ない。だから理論を覚えて、自分でその理論から新しい公式を構築できるようになりなさい」

 マーケティングにおいても全く同じです。もちろん、公式(フレーム)は素晴らしいし、あるに越したことはないけれど、それで問題が解けるならマーケターなんて極論いらない。それを超えたところに答えがあって、そこに向かうためにひたすら失敗を重ねて答えを見いだしに行くのがマーケティング。

 だからこそ、どんなドメインでも環境下でもフェーズでも組織文化でも、再現性高く通用する”マーケティング思考力”を高めるほうが本質的だということです。

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