対立を避けるなかれ 「仲良く喧嘩」するための4つのルール(1/3 ページ)

» 2024年06月14日 10時00分 公開

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サイボウズ青野社長が語る、「チームワークあふれる会社」の作り方

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【概要】「企業の成長」と「働きやすさ」をどう両立させるのか、DXやコロナ禍を経てコミュニケーションの形も働き方もガラリと変わった今、“理想的な職場”を実現するカギは何か――。ワークスタイル変革の第一線を走るサイボウズの青野慶久社長が語る。

 仕事の中で起こるさまざまな対立や葛藤は、誰しもできれば避けたいと思います。心理的安全性とは、対立や葛藤がないチーム状態だというイメージを持っている人もいるかもしれません。

 しかし、それは誤解です。心理的安全性が高い状態とは、メンバー同士が安心して反論を含め意見を言い合い、ぶつかることができる状態なのです。新しく創造的なものは、対立・葛藤の中から生まれてきます。対立・葛藤を避けるのではなく、チームをいかに安心して対立・葛藤できる状態にするかが重要なのです。

対立を避けるのがよい会議? 写真はイメージ(ゲッティイメージズ、以下同)

著者プロフィール:塩見康史(しおみ・やすし)

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株式会社スコラ・コンサルト プロセスデザイナー。

クラシック音楽の作曲家として長年活動してきたユニークなバックボーンを持つ。

自身の芸術創造の経験をビジネスに応用し、一人一人が“らしさ”を解放し、また多様な個性が織りなす、ゆらぎや葛藤を新価値創造の源泉として生かしていくような、ダイナミックな社会と組織をつくる支援をライフワークとしている。

前職では、大手小売業の人事部門で教育体系の構築や採用戦略策定、人事制度策定に携わり、自ら変革当事者として積極的に取り組んだ経験を持つ。

スコラ・コンサルトに加わってからは、人事課題をはじめ、ミッション・ビジョン・バリュ−策定、戦略ビジョンなど、経営課題の全般にわたる知識体系を生かし、本質的な経営課題をあぶりだすアプローチを得意とする。「人間とは何か」という問いに昔から心引かれており、心理学や仏教をはじめ、哲学、東洋思想にも造詣が深い。

共著に『わたしからはじまる心理的安全性』(翔泳社)。


対立をいかに「信頼関係」につなげるか

 葛藤と向き合うことはチームの創造性を高めるために重要です。しかし、葛藤が生じる場からいつも必ず創造的なものが生まれるとは限りません。葛藤や対立から生じる混沌(こんとん)があまりにも大きくなると、チームに亀裂が入り、信頼関係が崩壊してしまうこともあります。

 対立、葛藤にはこのような危険性があることもよく認識しておく必要があります。対立・葛藤の場の中で、チームを崩壊させることなく、創造的な活動を行うためには、やはりチームメンバー同士の相互理解と信頼関係が重要になります。安心して喧嘩ができるほどに「仲よく」なっておく必要があるのです(ここでいう仲よくは、もちろん波風を立てない馴れ合いの仲よしクラブという意味ではありません)。

 対立・葛藤は誰にとっても怖いものです。それは人間にとって当たり前の感情です。しかし、心理的安全性が高いチームをつくるためには、時にはその「当たり前」を越えていくことが必要です。対立・葛藤への恐れを越えることができたとき、仲間に対するより高い信頼感と、チームの創造的なエネルギーを手に入れることができます。具体的な手法を紹介していきます。

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