米小売業大手Walmart(ウォルマート)の店舗で新たな「後払い」(以下「BNPL」、Buy Now Pay Laterの略)オプションが提供されることになった。Walmartが支援するフィンテック企業ONE(ワン)が、一部のWalmart店舗で分割払いローンの提供を開始したと、米CNBCが報じた。
OneのBNPLサービスは、Walmartの全米4615店舗のうち一部の店舗で、高価格商品に対して利用可能。利率は年率9.99%から35.99%の範囲で設定されている。WalmartとOneいずれの広報担当者も、BNPLサービスに関する質問に対しコメントを控えている。
Walmartは2019年からBNPLプロバイダーの米Affirm(アファーム)と提携し、顧客に購入金額を分割で支払うオプションを提供してきた。2023年12月には、Affirmのサービスが全米約4500店舗の自動精算機に統合された。
Oneは、ワシントン州エバレットに拠点を置くCoastal Community Bankと提携し、銀行サービスを提供している。長年Goldman Sachsに勤めていたOmer Ismail氏とDavid Stark氏が率いるこの企業は、2022年にWalmartの160万人の従業員および一部の顧客に銀行サービスを提供し始めた。
Walmartが第三者に依存せずに顧客に金融サービスを提供することを目指す中、Oneの存在は重要となる。Walmartが米Capital Oneにクレジットカード発行における業務提携の解消を求めた訴訟で、5月、業務提携を早期に終了できるとの判決が下された。その後、WalmartはOneをクレジットカードプログラムに活用することを検討していると報じられている。
OneのWebサイトによれば、数百万人の顧客が同社のデビットカードのリワードプログラム、早期給与アクセス、高利回りの貯蓄オプションなどのサービスを利用しているという。顧客はWalmartで現金の追加や引き出し、キャッシュバックを受けることができる。
一方、Affirmもサービスの拡充を図っており、2023年11月にはデビットカードに連動した支出アカウントを追加した。OneのBNPLサービスの影響は、Walmartの店舗にどの程度統合されるかによるが、米コンサルティング会社CCG CatalystのシニアリサーチアナリストであるTyler Brown氏は「Affirmのビジネスに一定の影響を与えるものの、OneがAffirmの大きな競争相手になるとは考えていない」と述べている。
WalmartはOneを通じて、デジタルネイティブの顧客基盤を強化し、既存の金融サービスを拡大することで、顧客にとってワンストップショップとしての利便性を高めることを目指している。
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