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“ビジネス界のアカデミー賞”が投げかける問い 働く人に称賛を(1/2 ページ)

» 2024年06月24日 11時09分 公開
[武田信晃ITmedia]

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 ビジネスと仕事における卓越性を評価し、国際的なビジネスコミュニティ全体で優れたリーダーシップや革新的な取り組みをたたえるために2002年に米国で設立されたのが「The Stevie Awards」だ。

 日本ではあまり知られていないものの、国際的には「ビジネス界のアカデミー賞」とも呼ばれる。同賞の主催認定団体「The Stevie」会長のマイケル・ギャラガー氏に話を聞いた。

「The Stevie」会長のマイケル・ギャラガー氏

フジテレビ、DHLも受賞 企業をたたえる賞を

 同賞には、販売と顧客サービスに関する「スティービー・セールス&カスタマーサービス賞」、技術に関する「スティービー・テクノロジー・エクセレンス賞」、アジア太平洋の企業や個人を対象にした「スティービー・アジア・パシフィック賞」など9種類がある。各賞それぞれに多彩な部門を設けていて、例えば「スティービー・セールス&カスタマーサービス賞」では「Sales Team」「Customer Service & Contact Center Team」「New Product & Service」など細かくある。

 日系企業では、フジテレビが「THE ODAIBA 2021バーチャル冒険アイランド」という題目で第9回スティービー・アジア・パシフィック賞の「Innovation in Entertainment Events」部門で金賞を受賞した。その他、DHLジャパンが「DHL Express」で第10回スティービー・アジア・パシフィック賞「Innovative Achievement in Organization Recovery」部門で銅賞を受賞している。

 「日本でそれほど知名度がない一番の理由は、これまで日本に代表者を担ってもらえるエージェントがいなかったからです。特に非英語圏においては、いい代理人を見つけることが重要です。日系企業にもっと賞に参加してもらいたいです。今、世界中で最も応募してくるのが、中小規模のテック企業です。われわれは日本の良いパートナーと一緒に仕事ができるようになったので、これを機会に、イノベーションあふれる日系企業に応募してもらいたいと考えています」(ギャラガー氏)

 そもそも、この賞を創立しようと思ったきっかけは何なのか。ギャラガー氏は1980年代、大学を卒業してニューヨークにある企業「NEW YORK FESTIVALS」に勤めた。この会社はテレビや映画、ラジオに関係する賞などを多数、運営するところだった。同社では、賞にエントリーしてもらうために、リクルーティングの方法や審査形式など、賞というステージを作り上げていく方法を学んだ。時が過ぎ、2000年に起きた米大手エネルギー会社の巨額不正会計事件「エンロン事件」など、いろいろな企業のスキャンダルが発生した。

 「実際には大企業を含め、素晴らしい企業はたくさんありますし、大勢の人たちが働いています。一部のスキャンダラスな大企業によって、普段から真面目にがんばって働いている人たちまでもが、汚名を着せられてしまうのは不公平だと感じました」

 その思いの中でギャラガー氏は、自分の職務経験を生かして「ビジネス界のアカデミー賞を作ればいい」と思いついた。真剣に仕事をしている経営者、営業マン、科学者、エンジニアなどにステージに上がってもらい、トロフィーを授与するのだ。

 「俳優たちがきらびやかなステージに立ち、皆からの称賛を浴びるのならば、働いている人たちのためにトロフィーを授ける場を作り、スポットライトを当てたいと思いました」

「審査の見える化」で信用を上げる

 賞に応募したい人は、部門ごとにエントリーし、それに応じたケーススタディを提出する。

 「具体的には、こういった課題があり、そのためのソリューション、結果はこうなったということをまとめるので、ビジネススクールで提出するような体裁です。なぜこの方法にしたかというと、知らない分野のビジネスのことでも、ケーススタディを読むと『なるほど』と理解しやすいからです」

 審査員は皆ボランティアだ。自分に割り当てられたケーススタディを読み、10点満点で評価をする。審査基準は、投げかけられた問い全てに回答を出していたかどうか、どの程度の成果を出したのかなどだ。さらにその成果は、一体誰に影響を与えたのか、何を世の中にもたらしたのかも回答しなければならない。

 「中には、技術的に洗練されたものもあります。一方で、人々の生活がどの程度、改善したのかが分からない場合、レーティング(評価)は低くなります。もちろん、具体的にこれは良かった悪かったなどの講評もしてもらいます」

 審査員は約1000人いて、主催者側からお願いする場合と、過去の受賞者に参加してもらう場合に加え、一般からの自薦もある。審査員になりたい人は公式サイト内にあるフォームから申し込む。主催者側は、候補者の身分や持っている知見が本物なのかなど、審査員としてふさわしいかどうかチェックする。合格した場合、審査員用の専用ページがあり、そこにログインすると、担当する案件が表示され、審査を開始するという。人々が審査員に立候補するインセンティブは何なのか。

 「まずは、自らの経歴書に箔(はく)がつきます。もう一つは、ビジネススクールで勉強するようなケーススタディーですから自分にとってのいい教育のチャンスだということです。例えば、日系企業のケースの審査員になることで、彼らはどんなチャレンジをし、乗りこえてきたかを読めます。それは参加者にとって非常にためになるのです」

真剣に仕事をしている経営者、営業マン、科学者、エンジニアなどにステージに上がってもらい、トロフィーを授与(以下プレスリリースより)
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