大抵の路線は「起点」と「終点」があり、どこからどこを結ぶのか分かるようになっている。一方で、中にはそんな感覚を抱かせない路線もある。代表例がJR東日本の山手線だ。
山手線は、東京の中心部をぐるぐると回っている環状線だ。1日に同じようなところを何度も回り続けている路線に、起点や終点なんてものはあるのだろうか。
同様の環状線は、大阪にもある。JR西日本の大阪環状線だ。大阪駅や天王寺駅などを通り、大阪市内をぐるぐると回っている。この路線は複雑で、ぐるぐる回り続ける列車もあれば、途中だけこの路線を走る列車もある。
これらのJR路線には、実はきっちりと決まった起点と終点がある。では、どの駅なのか。
山手線はラッシュ時におよそ3分おき、平日昼間でも5分おきに運行している。コロナ前はもっと本数が多かった。そんな山手線はもともと「都市圏内輸送のための路線ではなかった」というと、意外に思う人もいるかもしれない。
山手線の起点は、品川駅である。当時は「品川線」と呼ばれ、品川から赤羽に向かう路線だった。この路線を通じて、内陸部の物資を東京の中心部や、横浜港に送り出すために設けられた。
下町エリアは人口密集地帯なので、貨物を走らせるために人の少ない場所に線路を敷いたのが、いまの山手線の“始まり”となっている。田端方面に向かうのではなく、当初は赤羽駅へと向かい、同駅で北関東・東北方面の路線と接続した。
こうした背景があったので、当初の山手線は貨物輸送がメインで旅客はサブ、しかもいまのような環状になっていなかったのだ。
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