コンビニおにぎりに「巨大化」トレンド たこ焼き、つけ麺風の変わりダネの登場も納得の背景長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/5 ページ)

» 2024年07月06日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]
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斬新な商品を次々に投入するニューデイズ

 NewDays(ニューデイズ)でも、もともと大きなおにぎりとして「大きなおにぎり」「サンドおむすび」シリーズを長く販売してきた。扱う商品の価格には幅があり、具材によってもさまざま。そのうち人気の商品では、1日に8000個が売れることもある。他チェーン同様に、おにぎり同士の買い合わせや、総菜と一緒に購入されるケースが多い。購買層は中高年男性が中心だが、具材によっては若年層、女性に人気の商品もある。

 こうしたジャンルが人気の一方、コロナ禍以降、特に2023年からは原材料価格の高騰もあり、値上がりが顕著だ。運営するJR東日本クロスステーションのリテールカンパニー広報は「消費者のコスパに対する意識が高まっており、商品開発に力を入れている」と話す。

ニューデイズ、スゴおに のり弁にぎりました(提供:JR東日本クロスステーション)
ニューデイズ、スゴおに のり弁にぎりましたの中身(提供:JR東日本クロスステーション)

 中でも注力するのが、6月に発売から3周年を迎えた「スゴおに」シリーズ。コロナ禍で楽しみの少ない日々に、少しでも明るさや楽しさ、面白さを感じてもらえればといった想いで開発したという。

 スゴおにシリーズは既に70種類の商品を開発。SNSで反響があった商品、テレビで紹介された商品も多いという。ご当地フェアに合わせて、地域の名産品などをイメージした商品を開発することで、ニューデイズに新しく興味を持つ人が増えるきっかけになっている。

 のり弁をおにぎり化した「のり弁にぎりました」、チキン照り焼きを使った「照りチキ ライスバーガー」、煮ホタテを3つ使用した「ホタテトリプル(ホタテ煮おにぎり)」、つけ麺のおにぎり化に挑んだ「とんこつ醤油つけ麺風おにぎり」など、スゴおにシリーズの発想は自由だ。他にも、たこ焼きやベーコンエッグをおにぎりにした、アバンギャルドな商品であふれている。

スゴおに 博多明太のり弁にぎりました(出所:プレスリリース)

 四角い手軽なミニ弁当風の「箱おに」というシリーズもあり「天丼風」「チキンカツ&タルタルソース」などをこれまでに発売している。2024年からは新しく、複数の具材を包んだ「げんこつおにぎり」を販売。「ツナマヨ・昆布・野沢菜」「豚の生姜焼き・野沢菜・マヨネーズ」といった組み合わせを展開している。

箱おに、天丼風(提供:JR東日本クロスステーション)

 コンビニ各社の大きなおにぎりはコロナ禍で進化し、消費者のコスパ・タイパ志向に対応しながら、楽しさと新しさを追求したラインアップを拡充している。複数の具材を入れたり、サンドや箱型にしたり、弁当をワンハンドで食べられるように握ったりと、従来のおにぎりの常識を超越しつつある。

 もちろん、従来型のおにぎりも健在だ。欧州、特にフランスではおにぎりブームが起きており、インバウンドのニーズも期待できるだろう。従来型に加え、成長軌道に乗る大きなおにぎりを中心に、コンビニおにぎりのさらなる成長に期待したい。

げんこつおにぎり(出所:ニューデイズ公式Webサイト)
スゴおに とんこつ醤油つけ麺風おにぎり

著者プロフィール

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。


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